医療機関を退院した後も可能な限り自立した生活を送れるように、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅を訪問して医師の指示に基づいたリハビリテーションを提供するサービス。

訪問リハビリテーションの目的

医学的リハビリテーションは、「急性期リハビリテーション」「回復期リハビリテーション」「生活期(維持期)リハビリテーション」に分類される。

救急入院が多い急性期病院などで発症後およそ1ヵ月以内に行われる「急性期リハビリテーション」と、急性期の後を受け、発症後6ヵ月を目安に行われる「回復期リハビリテーション」は、従来から医療保険によって医療機関で提供されてきた。
介護保険制度導入によってさらに充実したのは、医療機関から在宅ケアや施設ケアに移行した段階で行われる「生活期(維持期)リハビリテーション」である。

訪問リハビリテーションは、都道府県知事の指定を受けた指定訪問リハビリテーション事業所(医療機関や老人保健施設が運営)の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職が、「退院後もリハビリが必要だが、通院は難しい」という人に対して、以下のようなサービスを提供している。

訪問リハビリテーションのサービス内容

身体機能低下の予防・改善
長期の安静や寝たきりによる機能低下、褥瘡(床ずれ)、筋萎縮、骨萎縮、関節拘縮などを予防・改善し、生活不活発病の予防と改善を行う。

基本的動作能力の維持・回復
寝返り、起き上がり、立ち上がり、座位、立位、歩行などの基本動作ができるように、リハビリテーションを行う。

日常生活動作の維持・回復
食事、排せつ、移動、更衣、入浴、整容、コミュニケーションなど、日常生活に必要な生活行為が自立してできるようにリハビリテーションを行う。

介護者の負担軽減
在宅で介護をする家族の負担を軽減するために、相談や介助方法のアドバイス、指導などを行う。

福祉用具の利用・住宅改修に関する助言・指導
自立を援助する福祉用具(自助具)や、要介護度に合わせた住宅改修の相談、アドバイス、指導などを行う。

なお、訪問介護リハビリテーションは、一般的に医療保険よりも介護保険が優先されます。

訪問リハビリテーション利用の流れ

1.担当ケアマネジャーとの相談
訪問リハビリテーションを利用する場合は、まず、担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談をする。ケアマネは、利用希望者本人や家族の要望を聞き取り調査後、サービス提供事業者を探し、適切な訪問リハビリテーションが可能かどうか検討する。
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2.医師からサービス提供の許可・指示
サービス提供事業者決定後は、事業者から利用者のかかりつけ医に連絡をしてリハビリテーションの必要性について指示を仰き、サービス提供の許可を得る。
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3.利用者と事業者間の契約
サービス提供事業者は、担当ケアマネジャーとともに、医師の指示書に準じた訪問リハビリテーション計画書を作成。利用者が計画内容を確認し、契約する。
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4.必要に応じた計画の見直し
訪問リハビリテーション開始後は、一定期間ごとに、どのような効果があったか評価し、必要に応じて計画を見直していく。

訪問リハビリテーションの料金

■(介護予防) 訪問リハビリテーションの利用者負担の目安
要支援もしくは要介護の認定を受けている人の場合
20分/回   302円
(利用料は要支援・要介護とも同じ)

*1単位=10円で計算した場合。地域により金額は変動する。
*上記の費用は、介護保険の自己負担が1割の場合。一定の所得がある場合は自己負担割合が2割になる。また、退院・退所または介護保険認定日から3ヵ月以内に、身体機能の回復を目的とした集中的なリハビリテーションが行われた場合は、「短期集中リハビリテーション実施加算」が1回あたり200円程度加算される。

●「介護保険制度」のそのほかの説明を見る

→ 要介護・要支援認定とは?

→ 利用できるサービス・施設の種類とは?

→ 利用者が負担する費用とは?

→ 訪問介護とは?