高齢社会が進み、有料老人ホームや特別養護老人ホーム、介護保険施設といった高齢者向けの介護施設が増加している中、看護師の転職先も多岐にわたっています。
平成29年看護関係統計資料集(日本看護協会出版会編集)によると、介護施設で就業している看護師は年々増加しています。

ここでは、介護施設で働く看護師の仕事内容、1日の流れ、平均給与、向いているタイプなどをご紹介します。

介護施設で働く看護師の仕事・業務内容

介護施設と一口に言っても、目的や入居条件、運営主体などによりさまざまな種類があります。大きくは、社会福祉法人や自治体が運営する公共型の「介護保険施設」と、民間事業者が運営する施設とに分かれ、さらにその中で役割に応じて細かく種類が分かれています。たとえば、介護保険施設は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(介護療養病床)。民間型は、有料老人ホームやグループホームなどです。

看護師が主に配置されているのは、以上の介護保険施設と有料老人ホームで、健康管理と医療ケアを行います。また、民間型のサービス付き高齢者住宅(サ高住)など、種類を問わず看護師を配置する介護施設が増えています。これは、利用者の多種多様な生活課題を解決し、綜合的な援助を行うのは介護職だけでは不可能で、介護・医療・看護の連携が必要とされているためです。

介護施設で働く看護師の1日のスケジュール(例)

■08:00 出勤
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■08:30 業務開始
全体朝礼のあと、看護職員でミーティング。1日の業務内容を確認します。
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■09:00 バイタル測定
体の状態に変化があった方や入浴される方のバイタルチェックをします。
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■10:00 往診対応
嘱託医の往診日。息苦しさを訴えている利用者など気なることを報告し、診察介助、指示を受けて医療業務を行います。
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■11:00 薬の準備
昼食後に服薬される方の薬を確認し準備します。
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■12:00 食事見守り・介助
誤嚥しないよう見守りながら食事の介助をします。
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■13:00 昼休み
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■14:00 巡回
各フロアを巡回し、利用者の様子を確認。介護職員を手伝い、排泄や移乗介助も行います。
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■15:00 カンファレンス
介護支援専門員を中心にケアチームでカンファレンス。情報共有と問題解決の検討を行います。
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■16:00
翌日入所予定の方の準備のほか、夜勤職員への申し送りの準備をします。
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■17:00 業務終了
介護記録、医療処置・衛生材料補充等をし、夜勤職員へ申し送りをして業務終了。

介護施設で働く看護師の平均年収

介護施設で働く看護師の平均年収
施設の種類や夜勤の有無によって異なりますが、夜勤ありの場合なら病院勤務とほぼ変わらない450~550万円と予想されています。ただ、入居者の要介護度や医療ニーズが低い有料老人ホームや、看護師の夜勤配置が義務付けられていない介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などでは夜勤や残業がない場合が多く、その分、平均年収は数十万円ほど下がるのが一般的です。

介護施設で働く看護師 メリット・デメリット

介護施設での看護業務は、バイタル測定、服薬管理、経管栄養、痰吸引などの健康管理が中心となります。子育てがひと段落したあとなど、ブランクがあっても仕事復帰しやすいのが魅力です。また、夜勤や残業がないか、あっても比較的少ない施設が多く、子育て中の人にも働きやすいことが第一のメリットといえるでしょう。

看護師にとって基礎的な業務といえ、もちろん仕事がラクとういうことではありません。介護施設の利用者は、老化や疾病に伴って身体的機能が低下した人、寝たきりの人、認知症の人まで多様です。高齢者の場合は風邪や肺炎になっても高熱が出ないこともあり、はっきりした自覚症状がないまま症状が悪化することがあります。なんとなく元気がない、食欲がない、微熱があるなど、普段との違いを見逃さず的確に判断し、必要に応じて医師による早期治療につなげる役割を担っているのですから、責任が重く、やりがいの大きい仕事です。

デメリットをあげるとすれば、介護職員が圧倒的に多く、看護師は少人数のため、最初は“アウェー”にいるような印象を持ちやすいことでしょうか。また、介護職員と業務が重なることも多く、施設によっては介護職員と同じ生活支援を求めるところもあります。それぞれの業務に線を引きたい人は戸惑うかもしれませんし、他業種のチームに溶け込むのは同業種よりも困難が伴う面はあるようです。

介護施設で働く看護師のスキル・資格

介護施設は看護師としてのスキルが落ちると思う人が多いかもしれません。確かに病院のような医療処置は行いませんが、利用者の多くはなんらかの疾病や障害を抱えています。適切な生活支援のためには病気についてよく知っている看護師の役割が大切ですから、病院やクリニックで経験を積んだ人が有利でしょう。また、認知症ケアやターミナルケアに携わることで専門性を深められるほか、認知症看護の認定看護師や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの資格取得を目標にスキルアップしていくこともできます。

介護施設で働く看護師が向いているタイプ

介護施設の看護師に向いているタイプ
介護施設では、医師や看護師、介護支援専門員、介護職、リハビリテーション専門職などの多職種でチームが構成されています。専門性の違いによる意見の相違がどうしても出やすいため、そうした葛藤を抱え込みやすい人は注意が必要です。逆に言えば、それぞれの専門性の違いや仕事観を認め、利用者のためにどんな支援をしたらいいか、対等な立場で考え、発言できる人が向いています。

何よりもまた、利用者一人ひとりを人間として尊重し、その人がその人らしく、自立して生きるための支援をしたい人に最適です。介護は人間対人間の関係と言われるように、信頼関係がないと体に触れさせてももらえません。利用者の価値観や立場を否定するようなことがなく、きちんとした言葉遣いや態度で接することができる人がいいでしょう。介護施設に限らず対人援助の仕事は多少のストレスは避けられませんが、利用者やその家族から「必要とされている」と感じられることが喜びになっているようです。