住み慣れた地域で自分らしく人生の最期まで過ごすことのできるように医療、介護、住まい、予防、生活支援サービスが身近な地域で包括的に確保される体制を構築するため「地域包括ケアシステム」の整備が進められています。
その中で、看護師の需要の高まっている「訪問看護」について、訪問看護ステーションの数や利用者数、訪問看護師として働く職員の男女比率や前職など、事前に知っておきたい訪問看護の現場情報を『2018年度版訪問看護師データベース』としてご紹介します。

訪問看護師の数や、男女比率、前職や訪問看護師暦など「訪問看護師」についてのまとめはこちら

訪問看護ステーションと利用者数

訪問看護ステーション数推移

訪問看護ステーション数(全国)2018

一般社団法人全国看護事業協会の調査によると、平成30年4月1日現在、全国の指定訪問看護ステーション数は、10,418。平成29年は9,735でしたから、前年比683の増加。さらに、平成22年からの推移を見てもわかる通り、近年の増加は著しく、平成22年の5,731から、8年間で2倍近くになっています。また、厚生労働省の統計と比較してみると(平成12~28年)、全国の介護サービス施設・事業所とほぼ並んで訪問看護ステーション数が増加しているのがわかります。国が自宅での療養を推奨している背景もあり、訪問看護ステーションは今後も増えていくことは確実です。

訪問看護利用者数推移

要介護度別利用者数の推移2018

厚生労働省の介護給付費実態調査によると、平成28年の訪問看護利用者数は、1カ月あたり約42万人。近年の増加が著しく、今後もさらに増加することが予想されています。訪問看護の利用について実施主体別にみると、病院・診療所より訪問看護ステーションからの提供が多く、訪問看護ステーションの1事業所あたりの利用者実人員数は68.5人。看護職員1人あたりの訪問回数を見ると、看護職員数(常勤換算)3人未満の事業所では40回未満が41%、40回以上60回未満が21%となっています。

訪問看護利用者数要介護度別の割合推移

要介護度別の割合の推移2018

訪問看護の利用者を要介護度別で見ると、要介護1、2の割合が増え、平成28年は要介護1が最も多く22%、次に要介護1が18%と、4割を占めました。要介護度の高い3~5の割合も依然多い半面、近年は徐々に減ってきています。また、利用者1人あたりの1カ月訪問回数は、医療保険適応が最も多く7.6回(うち看護職員6.2回)。介護保険では要介護度が高いほど訪問回数が多く、要介護5は7.6回(うち看護職員5.9回)、要介護4は6.4(うち看護職員4.5回)となっています(厚生労働省 介護サービス施設・事業所調査)。

都道府県別訪問看護ステーションと利用者数

都道府県別訪問看護ステーション数推移

平成23年と平成27年の訪問看護ステーション数及び増加率2018

訪問看護ステーションは、平成23年から28年まで、すべての都道府県で増えていて、最大3.6倍、最小1.3倍、全国平均で1.83倍まで増加しています。ステーション数が多いのは、東京、大阪、愛知、神奈川、兵庫、北海道など。また、サテライトを設置する訪問看護ステーションも全国的に徐々に増加していて、近年はサテライトの伸びが大きくなっています。サテライトは従たる事業所のことで、利用者宅により近い場所から訪問看護を提供するため、待機や道具の保管、着換え等を行う出張所等です。

都道府県別の訪問看護利用者数(人口1万人当たり)

都道府県別の訪問看護利⽤者数(⼈⼝1万⼈当たり) 2018

訪問看護のサービス提供は、病院・診療所と訪問看護ステーションの両方から行うことができ、利用者は年齢や疾患、状態によって医療保険または介護保険の適用となります。人口1万人当たりの訪問看護利用者を医療保険と介護保険で分類すると、ほほ同数の沖縄県や佐賀県などを除き、全国的に介護保険での利用が多くなっています。訪問看護の利用者の半数以上が高齢者であることも、都道府県別の利用者数に関連があるでしょう。ちなみに、訪問看護を行う病院・診療所は医療保険での実施が多く、訪問看護ステーションは介護保険が多いですが、1事業所あたりでは医療保険の数も増えてきています。

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■訪問看護データベース2018(2)訪問看護師の数や実態
┗訪問看護師の数や、男女比率、前職や訪問看護師暦など

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