高齢者が可能な限り自宅で自立した生活を送れるように、自宅浴槽での入浴が困難な利用者宅を看護職員1名とスタッフ2名が訪問し、専用の浴槽を使用して提供するサービス。

訪問入浴介護の目的と対象者

入浴は身体の清潔を保って血液循環や新陳代謝の促進をするだけでなく、褥瘡(床ずれ)や感染症の予防・改善、疲労回復、さらには入浴中に全身状態を確認できることから、新たな疾患の発見につながるなど多くの効果が期待できる。

訪問入浴介護は、自宅浴槽や地域の入浴施設での入浴が困難な、以下のような要介護者を主な対象としている。

●自宅外への移動が困難な要介護者
●自宅浴槽を使用しての入浴が困難な要介護者
●入浴行為に伴い病状が変化する可能性が高く、注意を要する場合

訪問入浴介護サービスの内容と流れ

訪問入浴介護の利用は、ケアプラン(介護サービス計画)に基づいて行われる。ケアマネジャーがサービスを提供する訪問入浴介護事業者に連絡をし、サービス提供者が利用者の主治医に許可を得て、サービスが開始される。

1.訪問入浴介護事業者は、利用者の自宅を事前に訪問

サービスを提供する事業者の看護職は、主治医の指示や利用者の全身状態、健康状態などを確認。事業者のスタッフは、浴槽の搬送方法、浴槽の配置、利用者の入浴方法などを検討・確認する。

2.訪問入浴介護計画の作成

サービス提供事業者の担当者は、事前訪問で得た情報をもとに計画書を作成。湯の温度、入浴時間、入浴介護時の体位・姿勢・洗い方などの項目を細かく明記し、主治医、ケアマネジャーに確認を得る。
なお、計画書の作成は義務ではないため、作成していない事業者もある。

3.看護職員1名と、スタッフ2名でのサービス提供が原則

訪問入浴介護では、原則として看護職員1名とスタッフ2名でサービスを提供する。看護職員が必要となるのは、サービス提供前に利用者の心身の状態を観察し、入浴が可能か、主治医の指示を仰ぐ必要があるかなどを判断するため。所要時間は、訪問から終了まで40分~1時間程度。

なお、利用者の心身状態に支障をきたすことはないと主治医の意見を確認し、看護職員なし、介護職員3名でサービスを提供した場合は、サービス提供者への介護報酬が減算される。

4.入浴の内容変更、中止

利用者に突発的な発熱や血圧の上昇、呼吸の乱れがある場合。また、入浴に際して、主治医の指示と利用者の状態が異なる場合は、改めて主治医に指示を仰いで部分浴や清拭、または入浴中止の判断をする。

なお、利用者の希望や了解のもとで、入浴ではなく部分浴や清拭を行った場合は、サービス提供者への介護報酬が減算される。

5.医療処置や感染症がある利用者の入浴

訪問入浴介護では、利用者が経管栄養や人工肛門・人口膀胱、膀胱留置カテーテル、気管切開、人工呼吸器などの医療処置や医療器具を装着したままでも、病態が安定していれば入浴ができる。

また、利用者が感染症に罹患している場合も、利用は可能。ただし、感染症の種類によって必要な入浴の際の注意事項、訪問入浴介護員の感染防止策、使用した浴槽や入浴器具の消毒方法、廃棄処分方法については、適切に行う必要がある。

医療依存度が高い利用者で、入浴の前後に医療処置が必要な場合は、医師の往診や訪問看護サービスを同時に利用できるようにするなどの配慮をしながら実施される。

 

■訪問入浴介護の利用者負担の目安(利用者負担1割の場合/1回につき)*
要介護1〜5の認定を受けた場合
全身浴 1234円

介護予防訪問入浴介護

要支援1・2の認定を受けた人が利用できるサービス。利用者が要介護状態になることを防ぎ、できる限り自宅で自立した生活を送ることができるように利用者の心身機能の維持回復や向上を目指して行われる。
介護予防訪問入浴介護は、2018(平成30)年までに市区町村の総合事業に移行することが決められている。

■介護予防訪問入浴介護の利用者負担の目安(利用者負担1割の場合/1回につき)*
全身浴 834円

*1単位=10円で計算した場合。地域により金額は変動する。

●「介護保険制度」のそのほかの説明を見る

→ 要介護・要支援認定とは?

→ 利用できるサービス・施設の種類とは?

→ 利用者が負担する費用とは?

→ 訪問介護とは?