ナースにおすすめの資格をご紹介。キャリアアップのための看護の専門資格から、福祉や癒しの世界へ飛び込む資格など、さまざまな種類があります。新しい目標が見つかるかも!
今回は「臨床心理士」です。

臨床心理士とは、どんな資格?

臨床心理士とは、さまざまなストレスから生じる心理的問題に取り組む「心の専門家」のこと。日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。

臨床心理士は、面接・観察・心理テストなどによって心の問題を探り、カウンセリングや心理療法などによって問題の解決に向けた援助を行います。
心理カウンセラーや心理相談員などと一般的に呼ばれている職種を代表するハイレベルな“心理専門職”であり、社会的評価の高い資格です。

どんな人に向いている?

医師やナースが「体」の健康回復を支援するのに対して、臨床心理士は「心」の健康回復のお手伝いをします。対象や方法は違っても、人の苦しみや悩みを理解し、適切なケアを考えていく基本は同じ。日々の看護業務を通じて、人を理解する力や包容力を身に着けている人におすすめです。

ただし、心の問題は人によって違い、解決策にマニュアルはありません。心を閉ざしていたり、悩みや不安を言葉にできない場合も多くあります。心を開き、悩みを打ち明けるのを待つ忍耐力が必要になります。価値観を押しつけることなく、相談者が心の元気を取り戻すまで辛抱強く伴走できる人に向いています。

どんな場所で活かせる?

医療・保健分野では、病院・診療所の精神科や心療内科、精神保健福祉センター、保健所など。心の問題で不適応に陥っている人などに心理査定や心理療法を行います。

また、文部科学省の推進事業として、全国の公立中学校や小学校にスクールカウンセラーが配属されており、臨床心理士の代表的な活躍の場となっています。

このほか、児童相談所、心身障害者福祉センター、女性相談センター、老人福祉施設、家庭裁判所、刑務所、企業内相談室など、幅広い領域で活動が期待されています。

どうしたら資格がとれる?

資格試験を受けるためには、日本臨床心理士資格認定協会の指定を受けた大学院(修士課程)、または臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了することが必要です。

指定大学院には第1種と第2種があり、それぞれ受験資格が異なります。2015年5月時点で、第1種152大学院、第2種11大学院、専門職大学院は6校です。

●受験資格
・第1種指定大学院・・・修了後、受験可
・第2種指定大学院・・・修了後1年以上の心理臨床実務経験が必要
・専門職大学院・・・・・・・修了後受験資格が得られ、1次試験の論文記述試験免除

資格取得のための教育や講習の内容・期間

臨床心理士の資格は、誰でも簡単には受けられません。まず大学院に入る必要があります。選考は、書類審査、筆記試験(英語および心理学、大学院によっては小論文を課すところも)、口答試問によって行われます。このため、予備校に通ったり、通信講座で勉強する人が多いようです。

指定大学院および専門職大学院の2年間の学費は、国立で約140万円、私立で約230万円。在学中は基本的にフルタイムの勤務はできないので、今後のキャリア計画と資金計画をしっかり立てることが大切です。

仕事と勉強を両立させたい場合は、通信課程も選択肢のひとつです。ちなみに、放送大学大学院文化科学研究科文化科学専攻臨床心理学プログラムは、第2種指定を受けています。

指定大学院および専門職大学院で学ぶ内容は、主に以下のとおりです(大学院によって多少異なります)。

●必修科目
臨床心理学特論、臨床心理面接特論、臨床心理査定演習、臨床心理基礎演習、臨床心理実習

●選択必修科目
・研究法など:臨床心理学研究法、心理統計法など
・臨床心理学以外の心理学分野:発達心理学、教育心理学、生理心理学など
・応用的分野:社会心理学、家族心理学、犯罪心理学など
・医学的分野:精神医学、障害者心理学、心身医学、老年心理学など
・実践的分野:投影法、グループ・アプローチ、心理療法、学校臨床心理学など

資格試験の内容や合格率

試験は年に1度、10月に1次試験、11月に2次試験が行われます。1次は筆記試験で、100題の設問(多枝選択法)と小論文。1次合格者に対し、2次の口述面接試験が行われます。合格率は60%程度です。

なお、資格は更新制。認定後5年以内に定められた教育研修に参加する必要があります。

*ほかにも、スキルアップのための癒し・セラピー系の資格をご紹介 → 健康・癒し・セラピー系の資格

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