高齢者が可能な限り自宅で自立した生活を送れるように、本人や介護者の意見や希望を確認し、福祉用具専門相談員の助言を受けながら、福祉用具を選び、貸与(レンタル)できるサービス。

福祉用具貸与(レンタル)の種類

介護保険では要支援者・要介護者を対象とした福祉用具を「貸与(レンタル)」と「販売」に分け、厚生労働大臣が種目を定めている。
購入するには高価な福祉用具も、介護保険による福祉用具貸与を利用すれば、福祉用具サービス提供事業者が定める貸与金額の1割(または2割)で利用が可能。貸与(レンタル)できるのは以下の13品目に限られるが、要介護度によっては利用できない福祉用具もあるため注意が必要だ。

*福祉用具の貸与金額は、用具の種類や業者によって異なる
*自己負担金額の目安は、事業者が定める貸与金額の1割(一定の所得がある場合は、2割)

1.車いす/要介護2〜5の人が給付対象

自分で操作する「自走用」、介助者が操作する「介助用」、手動式の車いすに比べると重いが、電動モーターでらくに動く「電動車いす」がレンタルできる。車いすの種類などによってレンタル料金は違うが、おおむね月額400~2500円程度。

2.車いす付属品/要介護2〜5の人対象

座りやすくするためのクッション、姿勢を維持するためのクッション、電動補助装置など。

3.特殊寝台(介護ベッド)/要介護2〜5の人対象

電動モーターにより、背や足の部分の角度や高さを調整できる機能が付き、起き上がり立ち上がりを補助できるベッド。介護用ベッドの種類によってレンタル料金は違うが、おおむね月額800〜1500円程度。

4.特殊寝台(介護ベッド)付属品/要介護2〜5の人対象

特殊寝台に使用するマットレス、落下防止のために設置するサイドレール、食事をするためのテーブル、ベッドから車いすに移乗するためのスライディングボードなど。

5.床ずれ防止用具/要介護2〜5の人対象

寝ているときに体圧を分散させるエアマットやウォーターマットなど。

6.体位変換器/要介護2〜5の人対象

寝ている間に床ずれができないように仰向け(仰臥位)から横向き(側臥位)へと体位を変えるときに使用する用具や電動の起き上がり補助装置など、体位変換を容易にする機能のあるもの。

7.認知症老人徘徊感知機器/要介護2〜5の人対象

玄関やベッド脇に設置するマット状のものなどで、通過時にセンサーが感知して家族や隣人に音で知らせる機器。赤外線を使用した人感センサーなども含む。

8.移動用リフト(吊り具の部分は除く)/要介護2〜5の人対象

利用者の身体を吊り上げてベッドや浴槽への移動や段差のある居室での移動を助ける機器で、床走行式、固定式、据え置き式などがある。階段昇降機や段差解消機なども含む。

9.自動排泄処理装置/便吸引が付いている装置は、例外を除き要介護4〜5の人対象

尿と便を自動的に吸収する装置で、尿と便の両方を吸引できるものと、尿のみを吸引する装置がある。尿を吸引する装置は、要支援1〜要介護5までの人が利用対象。

10.手すり

居室で使用するものや、便器やポータブルトイレを囲むように据え置くものなど、工事を伴わないものが対象。

11.スロープ

段差を解消するもので、取り付け工事が必要なく持ち運びができるものが対象。

12.歩行器

移動時に体重を支える機能をもつ歩行器で、車輪のあるものと、車輪がなく四脚のものなどがある。

13.歩行補助杖

松葉杖、多点杖、ロフストランド・クラッチなどが対象。最も身近な杖であるT字杖は貸与の対象にはならない。

※上記、要支援・要介護度の明記がない場合は、要支援1~要介護5までが対象

福祉用具貸与(レンタル)利用の流れ

1.担当のケアマネジャーに相談する

要介護1〜5の認定を受けている人は、担当のケアマネジャーに相談。要支援1、2の認定を受けている人は、地域包括支援センターで相談をする。

2.ケアマネジャーが福祉用具を利用したケアプランを作成

ケアマネジャーは、理学療法士などと相談しながら利用者にふさわしい福祉用具を検討し、ケアプランを作成。

3.サービス提供事業者と契約し、利用開始

ケアプラン完成後、福祉用具のサービス提供事業者と契約し、サービスの利用を開始。利用者の介護状態が変化した場合や、しばらく利用して福祉用具が使いにくい場合は、ケアマネジャーに相談して貸与(レンタル)している福祉用具を変えてもらうことが可能。

●「介護保険制度」のそのほかの説明を見る

→ 要介護・要支援認定とは?

→ 利用できるサービス・施設の種類とは?

→ 利用者が負担する費用とは?

→ 訪問介護とは?