高齢者が可能な限り自宅で自立した生活を送れるように、本人の心身の状態が一時的に悪化した場合や、家族が病気や仕事などで一時的に自宅での介護が困難になった場合に、介護老人福祉施設(特別養護老人ホームなど)が短期間の入所を受け入れ、食事や入浴などの日常生活上の支援や機能訓練などを提供するサービス。

短期入所生活介護(福祉施設でのショートステイ)でのサービス内容

短期入所療養介護のサービスは、特別養護老人ホームや養護老人ホーム、これらに準ずる施設や老人短期入所施設で、以下のような場合に利用できる。

●高齢者の心身状態が一時的に悪化したとき
●高齢者の自宅引きこもり防止や社会的孤立感の解消が必要なとき
●介護者が体調を崩し、自宅で介護をするのが難しくなったとき
●介護者に冠婚葬祭や出張などがあり、数日間、家を空けなければならないとき
●介護者の介護負担軽減のために、短期間の休息が必要なとき

短期入所生活介護の目的は、自宅で自立した生活を送るための支援。そのため、すでに居宅サービス計画が作成されている場合は、その内容に沿った短期入所生活介護計画が作成され、サービスが提供される。サービス内容はサービス事業提供者によっても異なるが、1日の生活リズムに合わせた以下のようなサービスを利用者の心身状態に合わせて提供する。

●食事、排せつ、更衣、整容、口腔ケアなどの日常生活上の世話を行う
●1週間に2回以上の入浴、または清拭(体を拭いて清潔を保つこと)を行う
●利用者の状況に応じて日常生活機能の改善・維持のための機能訓練を行う
●利用者の健康に配慮し、医師や看護師が健康保持のための対応を行う
●引きこもりや孤立感解消のためにレクリエーションへの参加を促す

短期入所生活介護(福祉施設でのショートステイ)利用の流れ

1.担当のケアマネジャーに相談する

要介護1〜5の認定を受けている人は、介護上で困っている点などを担当のケアマネジャーに相談。要支援1、2の認定を受けている人は、地域包括支援センターで相談をする。
短期入所生活介護は利用希望者が多い人気のサービス。入所までに1〜2ヵ月かかることもあるため、早めに相談をして予約をしておきたい。

2.ケアマネジャーがサービス提供事業者を探す

ケアマネジャーは利用者の希望に合った施設の空き状況などを調べ、サービス事業提供者の受け入れ状況を確認。利用者への情報提供をする。

3.ケアマネジャーが「短期入所生活計画書」を作成し、利用開始

おおむね4日以上の入所が必要な場合は、担当ケアマネジャーが利用者の心身状態や家族の希望、入所の目的、具体的なサービス内容などを記した「短期入所生活介護計画書」を作成。サービス提供事業所と契約後、利用開始となる。

短期入所生活介護(福祉施設でのショートステイ)の利用期間の目安

ショートステイを利用する場合には、以下の利用日数の制限がある。

(1)ショートステイの累積利用日数は、要介護認定期間のおおむね半数以下を目安とすること。要介護認定には有効期間がある(介護保険証に記されている)。たとえば、有効期限が残り1年の段階からショートステイを利用する場合、365日のおおむね半数にあたる182日までが要介護認定期間内の累積利用限度ということになる。

(2)連続しての利用は30日まで。30日を超えて利用する場合は全額自己負担(10割負担)となる。また、介護保険の居宅サービスには、要介護度に応じた利用限度額が設けられているため、その範囲内で利用する。

短期入所生活介護(福祉施設でのショートステイ)の利用者負担の目安

短期入所生活介護の施設利用料金は、「要介護度(要介護1〜5)」「施設の種類」「部屋のタイプ」の組み合わせによって決まる。また、利用時の居住費と食費については、国の定める基準費用額に基づき、施設と利用者の契約により決められた金額が自己負担となる。

●施設の種類
(1)「併設型」…社会福祉施設や介護保険施設などに併設させている生活施設
(2)「単独型」…併設型ではなく、ショートステイ専門に運営されている施設

●部屋のタイプ
(1)「従来型個室」…定員1名の完全個室タイプ
(2)「多床室」…1部屋に2〜6名程度で利用する大部屋タイプ
(3)「ユニット型個室」…個室に加え、複数名で利用できる共用のリビングを併設

併設型の施設利用費(1日あたり)

部屋のタイプ 従来型個室 多床室 ユニット型個室
要介護1 612円/日 686円/日 715円/日
要介護2 683円/日 755円/日 785円/日
要介護3 755円/日 826円/日 859円/日
要介護4 825円/日 896円/日 929円/日
要介護5 895円/日 964円/日 998円/日

その他、基準居住費と食費がプラスされる。

国が定める基準居住費
従来型個室 1,150円/日
多床室 840円/日
ユニット型個室 1,970円/日

食費負担の限度額 1,380円/日

単独型の施設利用費(1日あたり)

部屋のタイプ 従来型個室 多床室 ユニット型個室
要介護1 648円/日 722円/日 751円/日
要介護2 719円/日 791円/日 821円/日
要介護3 791円/日 863円/日 895円/日
要介護4 862円/日 932円/日 965円/日
要介護5 931円/日 1,000円/日 1,034円/日

その他、基準居住費と食費がプラスされる。

国が定める基準居住費
従来型個室 1,640円/日
多床室 370円/日
ユニット型個室 1,970円/日

食費負担の限度額 1,380円/日

*上記の費用は、介護保険の自己負担が1割の場合。一定の所得がある場合は自己負担割合が2割になる。
*上記の費用は、1単位=10円で計算した場合。地域により金額は変動する。

介護予防短期入所生活介護(要支援1、2)の利用者負担の目安

要支援1、2認定された場合も、要介護1〜5と認定された場合と同様の条件で短期入所生活介護のサービスが利用できる。

併設型の施設利用費(1日あたり)

部屋のタイプ 従来型個室 多床室 ユニット型個室
要支援1 458円/日 502円/日 536円/日
要支援2 569円/日 617円/日 666円/日

その他、基準居住費と食費がプラスされる。

国が定める基準居住費
従来型個室 1,150円/日
多床室 840円/日
ユニット型個室 1,970円/日

食費負担の限度額 1,380円/日

単独型の施設利用費(1日あたり)

部屋のタイプ 従来型個室 多床室 ユニット型個室
要支援1 486円/日 524円/日 567円/日
要支援2 603/円日 652円/日 690円/日

その他、基準居住費と食費がプラスされる。

国が定める基準居住費
従来型個室 1,640円/日
多床室 370円/日
ユニット型個室 1,970円/日

食費負担の限度額 1,380円/日

*上記の費用は、介護保険の自己負担が1割の場合。一定の所得がある場合は自己負担割合が2割になる。
*上記の費用は、1単位=10円で計算した場合。地域により金額は変動する。

●「介護保険制度」のそのほかの説明を見る

→ 要介護・要支援認定とは?

→ 利用できるサービス・施設の種類とは?

→ 利用者が負担する費用とは?

→ 訪問介護とは?

→ 訪問入浴介護とは?