高齢者が可能な限り自宅で自立した生活を送れるように、生活機能や心身機能の維持・回復・向上を目的とした専門的な個別リハビリテーションや生活援助サービス(入浴・食事)を、医療機関(病院、診療所、介護老人保健施設など)で提供する送迎付きの日帰りサービス。

通所リハビリテーション(デイケア)の利用対象者

病気やケガで入院をして医療機関でリハビリテーションを受けていたが、医療保険適用の期間が終了し、主治医の指示のもと、介護保険でのリハビリテーションサービスに移行する場合。あるいは、要介護認定を受けた以下のような人を対象として行われる。

1.脳卒中の後遺症やパーキンソン病、リウマチなどで身体機能に障害がある人
2.認知症で異常行動があったり、理解力や判断力に低下のある人
3.起居・移動動作を含め、日常生活動作の維持・回復を図りたい人
4.摂食・嚥下障害。口腔衛生など、口腔機能の低下のある人
5.言語障害などで対人コミュニケーションに問題のある人
6.低栄養状態により体力の低下をきたしている人
7.家事(掃除、洗濯、買い物、調理)や金銭管理、服薬管理能力の維持・回復を図りたい人
8.閉じこもりがちで、社会交流の機会が乏しい人

通所リハビリテーション(デイケア)のサービス内容

通所リハビリテーション(デイケア)では、利用者の抱えている障害や問題を解決するため、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によって以下のような個別リハビリテーションが行われる。

1.体操や運動、マッサージなどを行い、基本的な日常生活に必要な機能の維持・回復を目指す「理学療法」
2.家事、工作などの作業をすることで、心身の機能や社会適応力の維持・回復を目指す「作業療法」
3.発声や発語の訓練、または嚥下の機能訓練を行う「言語聴覚療法」

また、専門性の高い個別リハビリテーションに、社会交流なども目的とした集団リハビリテーション(体操やレクリエーション)や、家族の介護負担軽減を目的とした生活援助サービス(食事・入浴)を加えることもできる。そのためサービス提供時間も、1時間以上2時間未満から、2時間以上3時間未満、3時間以上4時間未満、4時間以上6時間未満、6時間以上8時間未満までと細かく分かれ、医師の指示のもと、利用者に合ったリハビリテーション計画が立てられ、サービスが受けられる。

●1日利用(6時間以上8時間未満)プログラムの一例
9:00 送迎車で利用者の自宅へお迎え
10:00 施設到着後、健康チェック(体温、血圧などを測定)
10:30 入浴(入浴サービスを利用した場合は、1日約50円〜の入浴介助加算がプラス)
12:00 昼食(食費は自己負担)
13:00 体操や運動機器を使用した機能向上訓練や口腔機能向上の指導(個別リハビリテーション)
15:00 ティータイム(おやつ代は自己負担)
15:30 ゲームなどのレクリエーション(集団リハビリテーション)
16:30 送迎車で利用者の自宅に到着

通所リハビリテーション(デイケア)利用の流れ

1.主治医の指示のもと、ケアマネジャーに相談をする

脳卒中や骨折で入院してリハビリテーションを受けていたが、医療保険を適用できる期間が終了し介護保険に切り替える必要があると主治医が判断した場合、要介護者は担当のケアマネジャーに相談をする。要支援者は、地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成してもらう。

2.希望に合う施設かどうか見学に行く

利用できそうなデイケアの施設をケアマネジャーに紹介してもらい、できれば利用者本人や家族が見学に行き、比較検討する。

3.ケアマネジャーがケアプランを作成し、利用開始

利用したい施設、利用したいサービス、利用頻度などを決める。ケアマネジャー、サービス提供事業者と話し合いをし、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、契約後、利用開始。

通所リハビリテーション(デイケア)の利用負担の目安

通所リハビリテーション(デイケア)のサービス提供費用は、利用者の要介護度、利用する施設の規模(前年度の1ヵ月あたりの平均利用延べ人数により算定)、利用時間によって決まる。さらに、食費や各種加算を加えたものが、1回当りの利用負担目安となる。
要介護1〜5に認定された場合は、1回利用するごとに1日あたりの料金が発生。ケアプラン上では週に2日の利用となっていても、体調を崩してデイケアが利用できない場合は、料金が発生しない。

(1)通常規模型通所リハビリテーション(月平均の利用者が300人超750人以下)を利用した場合の料金例 

要介護度 1~2時間未満 6~8時間未満
要介護1 329円/日 726円/日
要介護2 358円/日 875円/日
要介護3 388円/日 1,022円/日
要介護4 417円/日 1,173円/日
要介護5 448円/日 1,321円/日

(2)大規模型(Ⅱ)通所リハビリテーション(月平均の利用者が900人超)を利用した場合の料金例

要介護度 1~2時間未満 6~8時間未満
要介護1 316円/日 697円/日
要介護2 346円/日 839円/日
要介護3 373円/日 982円/日
要介護4 402円/日 1,124円/日
要介護5 430円/日 1,266円/日

その他加算
●入浴介助加算 50円/日
●栄養改善加算 150円/日
●口腔機能向上加算 150円/日
●若年性認知症ケア加算 60円/日 …など

介護予防通所リハビリテーション(要支援1、2の方)の利用負担の目安

市区町村に違いはあるが多くの場合、要支援1と認定された場合は週1回、要支援2と認定された場合は週2回、デイケアの利用が可能。利用料金は月額で決まっており、体調を崩してデイケアを月に1、2回休んだとしても、料金は変わらない。

要介護度 週1回程度利用 週2回程度利用
要支援1 1,812円/月
要支援2 3,715円/月

このほかに、希望する場合は、以下の選択サービスが利用可能。選択サービスは、要支援1、2とも同額。

選択サービス

生活機能向上グループ活動加算 100円/月
運動器機能向上加算 225円/月
栄養改善加算 150円/月
口腔機能向上加算 150円/月

<介護予防通所リハビリテーションにかかる費用の計算式>
介護予防通所リハビリテーション提供費用 + 選択サービスなどの加算 + 食費などの実費=月あたりの費用

*「入浴サービス」の費用は共通サービスに含まれるが、上記の表に記した選択サービスを利用した場合は、加算がある。また、サービス時間が延長された場合も加算がある。
*上記の費用は、介護保険の自己負担が1割の場合。一定の所得がある場合は自己負担割合が2割になる。
*上記の費用は、1単位=10円で計算した場合。地域により金額は変動する。

●「介護保険制度」のそのほかの説明を見る

→ 要介護・要支援認定とは?

→ 利用できるサービス・施設の種類とは?

→ 利用者が負担する費用とは?

→ 訪問介護とは?

→ 訪問入浴介護とは?