「子どもが好き!」という人にとって、小児科の看護師は憧れの仕事の1つではないでしょうか。治療を経て笑顔になる子どもたちを間近で見ることができるのは、小児科ならではの大きなやりがいに違いありません。ここでは、小児科で働く看護師の仕事内容、1日の流れ、平均給与、向いているタイプなどをご紹介します。

小児科で働く看護師の仕事・業務内容

小児科看護師が働く職場は、小児病棟のほか、病院クリニックの外来、小児集中治療室(PICU)、新生児特定集中治療室(NICU)などがあります。

小児科が対象とするのは新生児から思春期まで。身体機能や認知力などの変化が大きい期間なので、発達年齢に応じたきめ細かな看護が求められるます。循環器や血液、アレルギー、感染症、脳神経、未熟児、発達障害など、幅広い専門領域を総合的に診察する小児科では、看護師もそれに対応する知識と技術が必要となります。

小児科看護師の仕事は、診察する医師の介助や乳児の検診計測、急変時の対応といった一般的な医療行為のほか、患者である子どものケアという小児科ならではの大事な役割もあります。食事や就寝の補助など、小さな子どもの身の回りのお世話をするのも重要な業務です。ほかにも、クリスマスなどの季節イベントを実施し、入院生活のストレスを解消するサポートをしたり、治療を受ける子どもたちに病気についてや検査内容をわかりやすく説明することもあります。また、ご家族の不安を和らげるためのサポートも、看護師に求められる役割です。

小児科で働く看護師の1日のスケジュール(例)

<小児病棟・日勤の場合>
■08:30 出勤
夜勤担当者から患者の病状報告などの申し送りを受け、情報共有します。
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■08:30 ラウンド
体温や脈拍、血圧などの測定をします。呼吸、睡眠状態、おむつのチェックも。
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■09:00 看護ケア
レントゲンなどの検査への付き添い、採血、点滴、投薬管理など、患者ごとにさまざまな処置や看護ケアを行います。
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■10:00 プレイルームへ
子どもたちをプレイルームへ移動させます。
プレイルームに行かない子どもたちのケア。入浴介助も。
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■11:30 昼食介助
子どもたちの昼食介助を行います。
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■12:30 昼休憩
交代で昼食、休憩を取ります。
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■13:30 ラウンド
おむつを交換したり、必要なケアを行います。
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■15:00 おやつ介助、面会の家族の対応
面会時間に家族が来院したときは、日常生活の様子を伝えたり、必要なアドバイスを提供します。
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■16:30 記録・申し送り
看護記録を作成、夜勤看護師へ申し送りをします。
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■17:00 退勤

小児科で働く看護師の平均年収

小児病棟勤務の看護師の場合、平均年収は450万~500万円。一般的に病棟勤務の看護師の平均年収が500万円とされていますから、他の診療科の看護師と比べても大きな差はないと考えて良いでしょう。
ただし、外来のみの病院やクリニックで働く場合の平均年収は400万円前後と、夜勤がない分だけ病棟勤務の看護師よりも低くなります。

小児科で働く看護師のメリット・デメリット

小児科看護師の魅力は、なんといっても子どもと接する喜びでしょう。子どもたちは、病気の苦しさや治療のつらさ、家族と離れて生活する寂しさなどと闘っています。そうした現実があるからこそ、回復して笑顔になる様子を見たり、子どもの成長を感じることができるのは、大きなモチベーションになります。

一方で、子どもと接する難しさに直面して悩む人もいます。苦しむ子どもの姿を見るのはつらいものですし、時には悲しい現実に直面することもあります。また、精神的にピリピリした状態の家族から、不安やイライラをぶつけられることもあります。そうした体験をしたときの精神的な落ち込みやストレスにどう対処するかが問われる職場です。気持ちを切り替える強さが必要でしょう。

小児科看護師の仕事を通じて、さまざまな疾患の知識や対応を身につけることができます。小児看護のスペシャリストとして専門性を高めることができるのはメリットです。
しかし、将来のキャリアプランを考えたときに、成人看護の経験がないことに不安を覚える人も多いようです。実際には、小児看護で培ったコミュニケーション力は他の診療科でも活かせますし、保育園や重症心身障がい児施設など、病院以外の活躍の場も増えています。

小児科で働く看護師のスキル・資格

小児科で働く際に特別に必要となる資格はありません。ただ、小児科は扱う領域が広いことから、一般的な内科に限らず、感染症や発達障害など幅広い知識を身につける努力が求められます。また、子どもへの注射や採血は難易度が高く、看護師としての経験値が重要です。また、注射を嫌がって泣く子を落ち着かせたり、高いコミュニケーション力も求められます。

患者である子どもやその家族のメンタルケアも大切な役割なので、臨床心理士思春期保健相談士の資格取得をめざすのも活躍の可能性を拡げる1つのルートです。ほかに、助産師の資格を取得し、新生児に関する知識を生かして新生児特定集中治療室(NICU)で活躍するなど、キャリアアップの方法はさまざまあります。

小児科で働く看護師に向いているタイプ

小児科で働く看護師に向いているタイプ
子どもが好きという人に向いているのはもちろんですが、単に子ども好きというだけではなく、忍耐力があり、世話好きな性格の人が適しています。子どもは、自分の状態や思っていることをうまく伝えられなかったり、不安からナーバスになっていることも少なくありません。検査をするにしても、薬を飲むにしても、大人の患者に比べて何倍も時間と手間がかかります。そんなときに根気強く寄り添い、子どもの様子をよく観察しながらリラックスできる状態を作ってあげる姿勢がとても大事です。子育てや育児経験があり、子どもの扱いに慣れているという人も向いています。

コミュニケーション力も大事な要素。やさしく、抑揚を付けてわかりやすく説明したり、ときには玩具や遊びを取り入れたりしながら、子どもの心を開いていくのが得意な人も向いています。家族と円滑な関係を築くためのコミュニケーションも大切です。

小児科の看護師は、医療行為や介助だけでなく、子どもの不安を和らげ、入院生活を少しでも楽しくするための気遣いも大切な仕事です。一緒に絵を描いて遊んだり、病室を賑やかに飾り付けするのが得意な人は、そのスキルを活かせるでしょう。