執刀医にメスを手渡し、医師の額の汗をぬぐう・・・。一般の人がTVドラマでよく見るオペ看護師は、ナースにとっても目指す人の多い、手術を成功に導くエキスパートです。

ここでは、オペ看護師の仕事内容、1日の流れ、平均給与、向いているタイプなどをご紹介します。

オペ看護師の仕事・業務内容

オペ室看護師(オペナース)とは、手術が円滑に進行するように介助を行う看護師のこと。役割によって大きく2つがあります。手術に直接関わる「機械出しの看護師」と、全体の進行に関わる「外回りの看護師」です。

機械出しの看護師は、手術に必要な器具や物品を事前に準備し、手術が始まると絶妙なタイミングで必要な器具を外科医に手渡していきます。医師との信頼関係や的確な判断力が求められる役割です。
外回り看護師は、病棟に出かけ、患者説明・アセスメントを行う術前訪問からはじまり、麻酔導入の介助や出血量の確認など、患者の状態の変化と手術の進行に気を配り、手術全般をサポートします。さらに、術後の申し送りや術後訪問まで担います。術前・術中・術後と細やかに動き、心配りをするのが外回りの看護師の役割です。

オペ看護師の1日のスケジュール(例)

■07:30 出勤
チームで打ち合わせ後、薬剤や器具の点検、手術室の室温などを確認します。
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■08:30 患者の受け入れ
病棟の看護師から患者の状態を引き継ぎ、入室時には患者を温かい笑顔で迎えます。
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■09:00 手術開始
手術用の照明や体の位置を調整したり、手術がスムーズに進行するよう動きます。モニターや患者の全身観察など、一瞬も気をゆるめられない緊迫の時間です。
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■12:00 手術終了
手術が終了したら、患者をリカバリールーム(回復室)に移動。麻酔から目覚め、状態が安定するまで看護します。
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■13:00 病棟の看護師に引き継ぎ
患者の状態が落ち着いたら、病棟へ患者を送り出し、病棟看護師に引き継ぎます。
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■14:00 昼食
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■15:00 術前訪問
明日の手術患者の病室に行き、注意事項などを確認。手術の準備を整えます。
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■15:30 報告・記録作成、打合せ
リーダーへの報告、記録の整理などをしてから、明日の手術の執刀外科医や麻酔医、器械出しの看護師などと打ち合わせをします。
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■17:00 退勤

オペ看護師の平均年収

健診・検診センターで働く看護師の平均年収
手術は基本的に日勤帯に行われ、夜勤のない職場が多いため、オペ室看護師はワークライフバランスを大事にしたい人に向いています。その分、夜勤のある病棟勤務より平均年収はやや下がり、450万円前後。ただ、日勤の看護師の平均年収420万円と比較すると、やや高めとなっています。病院によっては夜勤もあり、その場合は平均500万ほどになります。看護師全体の平均年収480万円と比較すると、やや高い水準と言えるでしょう。

オペ看護師 メリット・デメリット

オペ室で働くメリットは、多くが日勤で生活と仕事のバランスが取りやすいうえに、手術に関する詳細な知識とスキルを身につけたエキスパートとして専門性を高めていけることです。
一方、手術は、予定されている場合だけでなく、緊急に行われることもあります。そのために病院によってはオンコール体制をとっていて、夜間や休日であっても、緊急手術があれば当番の人は病院にかけつけなければいけません。また、手術の時間も一定ではなく、時間がかかったり、緊急手術が入れば、その日の帰宅時間も遅れます。お昼休憩の時間なども不規則になることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。

緊迫した状況の中で働くため、気力、体力ともにタフである必要があります。仕事はハードですが、手術は人のいのちと直結する大切な治療。それだけにやりがいがあり、看護師としての深い知識と経験を積むことができるのが魅力です。

オペ看護師のスキル・資格

オペ室看護師になるための特別な資格はありません。ただ、手術室に配属される必要があるため、オペ室看護師として働きたい場合は、応募先に配属の可能性や条件などを確認したほうがいいでしょう。もちろん、オペ室看護師としての経験があれば、即戦力として有利になります。

オペ室看護師としてスキルアップしたい場合は、手術看護認定看護師の資格を目指す道もあります。そのためには、5年以上の実務経験と手術看護分野で3年以上の研修を積み、認定看護師教育課程の修了が必要です。オペ室看護師になることより、なった後の勉強が大変とも言われる部署ですが、高度な認定資格を目標にスキルを磨いていきたい人には最適な仕事です。

オペ看護師が向いているタイプ

オペ室で働く看護師の仕事内容、平均給与、向いているタイプとは?
オペ室で働く看護師には、どんな状況でも冷静、的確に判断し、行動できる人が向いています。執刀する医師や麻酔医と密にコミュニケーションをとりながら介助を行っていくため、コミュニケーション能力が欠かせません。そのうえで、手術の流れを読み、医師の次の行動を予測しながら動ける人に最適です。

出術中は高い緊張感が続くため、ストレス耐性が強く、術後には気持ちをパッと切り替えられることも大切な要素です。
また、手術室は患者との触れ合いが少ない部署のように思われていましたが、術前・術後に病室を訪問し、身体的・心理的支援を行うほか、回復室での看護にもあたります。病棟のように、顔の見える関係で患者をケアしたい人もやりがいを見いだせるでしょう。