療養型の病院で10年働いたところで、祖父が病気に。身内が介護を経験し、その大変さが身にしみてわかったことがきっかけで、リハビリ病院に転職したK・Nさん。
患者さんが退院したあとに、家族が自宅で介護する負担を少しでも減らしたいと思い、さまざまな介助を行っています。
その一方で、自分が本当にやりたいのは、認知症の方の看護だという思いが強くなってもいるそう。

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K・Nさん(38歳)のプロフィールimage003

●看護業界歴…18年

●看護の仕事に就く前…看護専門学校

●転職回数…3回

●現在の勤務先…リハビリ病院

●いままでの勤務先…総合病院(急性期病棟)、総合病院(眼科、耳鼻科、形成外科)、療養型病院

●保有資格…准看護師、正看護師

老老介護の大変さがわかり、リハビリ病院へ転職

10年間勤めた療養型病院を退職しようかどうか考え始めた頃は、プライペートでもいろいろあり、いったん区切りをつけたいと思っていた時期でもありました。

また、そのしばらく前から、祖父が病気になり、祖母や娘である母が介護をしていました。
祖父は鹿児島の離島で祖母と暮らしていたのですが、鹿児島の病院に長期入院したあと、家に帰りたいということで、在宅介護になったんですね。
もう祖父は亡くなりましたが、この時、老老介護の大変さを目の当たりにしたことが、ずっと心に引っかかっていました。

私は頻繁に行くことはできませんでしたが、鹿児島の家と実家の離島を行き来する母はもちろん、高齢な祖母はどんなに大変だったろう。在宅介護が家族にこんなに負担をかけることがあってはいけないんじゃないか。
そう思うようになっていたとき、東京のリハビリ病院で働いている看護学校時代の友達が、「うちに来てみたら?」と声をかけてくれ、「そうだ、リハビリ病院なら介護に近い」と思い、現在の病院に転職しました。

余談ですけど、友達は、九州でずっと働いていたのに、この病院の看護部長さんに憧れて、関東に出てきたんですよ。そして、その友達に誘われ、私も京都から関東へ。
看護学校を卒業して関東に出ることも考えたけれど、その頃はまだ勇気がなくて。まず関西と思って、大阪、京都。年齢も重ね、ようやく東京までやって来ました(笑)。

私も友達もそうですが、ナースって、フットワークが軽いんでしょうか? こうと決めたら、どこにでもパッと動き、どこの土地にも馴染んでしまうところがあるかもしれません。

家族に介護の重荷を負わせないようにしたいのに

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現在のリハビリ病院で働いて、まだ1年半が過ぎたばかりです。
介護せざるを得なくなると家族がどれだけ苦労するか、身内で経験して身にしみているため、私はとにかく、患者さんが入院中に日常生活に必要な基本的動作ができるようにと思って介助しているつもりです。

その中でも、とくに大事なのが、食べることと排泄。このふたつが最低限できれば、自宅に戻ってからもなんとか暮らしていくことができますから。
排泄なら、ベッドから起きあがる、座る、立つ、トイレに行く、服を下げる、拭く。
食事なら、スプーンを持つ、すくう、腕を上げる、そして、手首を動かしてスプーンの柄を返す・・・。せめてここまでの一連の動作ができるようになって、自宅に戻ってほしいんですね。

でも、それは看護師目線なのか、あるいは私目線なのか、リハビリスタッフと考えが食い違うことがしばしばあります。たとえば、起きあがることもできず、座っても後ろにそっくり返るような患者さんを二人がかりで介助してトイレに行く練習をしようとすること。「いや、そうじゃなくて、まず起き上がりの練習でしょう?!」・・・口にはしませんけど、そう心の中で呟いているんですよ。

国はいま、在宅介護を推奨し始めていますが、そうであるならなおのことリハビリが大切だと思います。歩行訓練や言語訓練も確かに大切ですけど、基本的な生活ができる訓練をしないで退院したら、本人はもちろん家族はどうなるのでしょうか。
「そういうのは自宅で奥さんにやってもらえばいい」・・・・若いスタツフからそんな言葉を聞くと、本当にがっかりします。
患者さんが生きるため、生活するためのケアをしたいと思っている私と考え方が違うと感じ、自分の居場所はリハビリ病院ではないのかなと思い始めています。

私は自分の考えを貫き通して生きてきたつもりでした。医師に対しても、おかしいと思うことがあれば、はっきり反論もし、意見を言ってきました。それは、患者さんのことを一番わかっているのは、現場で数をこなしている看護師だという自負があるからです。

そんな私が言いたいことを我慢し、あきらめムードになっているのはよくないですね(笑)。
私が本当にやりたいのは、認知症の方の看護。時期や場所はまだ未定ですが、しばらくしたらまた療養型病院に戻るつもりで、認知症の勉強も続けています。

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