“就活”という言葉もなかった20年ほど前のこと。K・Nさんの転職ストーリーは、看護学生だったときの就活中に遭遇した、おもいがけない出会いから始まりました。
面接に訪れた先の採用担当者が、「うちより勉強になるから」と、他の病院を勧めてくれたのです。すぐにその病院に採用が決まり、そして6年後。2度目の転職先を探していたKさんは、このときの採用担当者に再会します。

Kさんのときのように、一人ひとりをちゃんと見て、それぞれが成長できるより良い方向を示してくれる採用担当者もいるようです。そんな出会いも楽しみに、転職活動を行ってみませんか?
これから4回にわたってお伝えするK・Nさんの転職ストーリーをじっくり読んでみてください。

*看護師転職ヒストリーKさん 1回目2回目3回目4回目(最終回)

K・Nさん(38歳)のプロフィールimage003

●看護業界歴…18年

●看護の仕事に就く前…看護専門学校

●転職回数…3回

●現在の勤務先…リハビリ病院

●いままでの勤務先…総合病院(急性期病棟)、総合病院(眼科、耳鼻科、形成外科)、療養型病院

●保有資格…准看護師、正看護師

目標通り、20歳で看護師資格を取得

私は看護師になることは早いうちから決めていて、中3の1学期の進路面談のときには、もう先生にこう言っていました。
「衛生看護科の高校から専攻科までつながっている5年コースの学校に行きます。それで、看護師の免許を20歳で取ります」

看護師になりたいとずっと思っていたので最短コースを選んだのですが、「どうして看護師なのか?」と聞かれると・・・それはちょっとうまく答えられないかも(笑)。

幼い頃、小児ぜんそくで入院したことがあり、看護師さんが身近だったこともあります。それと、大きかったのは、中学1年生のときの経験かもしれません。
親戚のおじさんが病気で倒れ、母に連れられ、病院に駆けつけたときのことです。昏睡状態で、話しかけても何も返ってこないため、思わず私は足の裏を触ってみました。すると、足がピクッと動いたんですね。反応してほしい一心でやったことですが、この経験はすごく印象的で、いまも脳裏に焼き付いています。

衛生看護科から専攻科まで5年。私学のため学費はそれなりにかかるのですが、両親も「自分で決めた道なんだから頑張りなさい」と応援してくれ、目標通り、20歳で看護師資格を取りました。
学生時代から「親に出してもらった学費はいつか返そう」と心に決めていて、就職してから何年間かかけて返したんですよ。奨学金はもらっていなかったので、なおさら両親にはそうしなければという気持ちでした。

奨学金を受けなかった理由ですか? それは、お礼奉公というかたちで就職先を決められたくなかったから。一番大事な新人時代を過ごす場所は自分で決めたかったんですね。そんな自分の気持ちを理解してくれ、学費を出してくれた両親には感謝しています。

ひょんなご縁で決まった最初の入職

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私は鹿児島出身。専攻科を卒業したら関西方面に行きたかったので、大阪の病院をいろいろ調べました。パンフレットを見て、電話をかけて面接の申し込みをして・・・。昔はどの学校でもこうだったかもしれませんけど、私の母校は「就職先は自分で動いて、自分で決める」のが方針でしたので。

そうやって大阪のある病院に申し込みをし、面接をしてもらいました。ところが、面接が終わりかけたころ、事務長さんが「君は療養型のうちより、急性期の病院に行ったほうがいいと思う」とおっしゃったんですね。そして、たまたま面接中の病院にいらっしゃっていた総合病院の事務長さんを紹介してくれ、その場で内定をいただきました。

「うちより急性期の病院のほうが勉強になるでしょう」「そう、うちにいらっしゃい」
こんなふうに言ってもらえたというのは、私が何かを話したからだろうと思います。
20年ほど前のことで記憶がないんですけど、もしかしたら、中学生のときのあの体験を話したのかもしれません。
意識がないまま横たわっているおじさんに反応してもらいたくて思わず足の裏を触ったこと。そのとき、“病院の患者さん”と接し、看病する看護師になりたいと思ったこと・・・・。

実は、ナースになってから6年後、2回目の転職をしたのが、この時に面接をしてもらった病院です。驚いたのは、もう何年も前のことなのに、面接をしてくれた事務長さんが私を覚えていてくれたことでした。
「鹿児島の出身だよね、○○学校だったよね」。そして、なんと名前まで!

大勢の看護学生や現役ナースさんを面接してきた採用担当の方たちは、みなさん、こんなふうに一人ひとりを覚えているものなのでしょうか? 「学生のときと顔があまり変わってなかったから」と事務長さんは言ってましたけど(笑)。

そう・・・。なんでも自分で決め、自分で動く。ずっとそうしてきたつもりですが、ご縁というものがそこにはあり、進むべき方向へ導かれているのかなと思います。

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次回は、急性期の総合病院での修行の日々を通じ、自分の看護観を固めていく様子をお伝えします。

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