プライベートの環境が変わったときの転職でまず考えるのがクリニックへの転職ではないでしょうか。
クリニックで働く一番のメリットは夜勤がないこと。そのため、育児をしながら働きたいという看護師さんに人気があります。

ここでは、クリニックで働く看護師の仕事内容、1日の流れ、平均給与、向いているタイプなどをご紹介します。

クリニックで働く看護師の仕事・業務内容

クリニックとは、病床数が19以下の医療施設のこと。医療法では「診療所」に分類され、「〇〇クリニック」「〇〇医院」「〇〇内科」など、名称はさまざまです。
院長である医師が1人のところが多く、多くても数人。看護師も数人というところが一般的で、看護師の仕事は医師の診療補助が中心です。具体的には、診療を受ける前の問診、バイタルサイン測定、検査の説明や治療の補助、採血、点滴など。また、クリニックによっては受付けや電話応対、薬品や備品の管理、診療室の清掃まで行う場合もあり、一人でこなす仕事の守備範囲が広いのが特徴です。

厚生労働省の発表(2018年1月)によると、病院は8,401施設、診療所(クリニック、医院など)は17万628施設。このうち、歯科診療所を除いた一般診療所は10万1,837施設で、日本の医療機関の多くが診療所(クリニック、医院など)であることがわかります。施設ごとの看護師の人数は少なくても、求人件数は多く、自宅から通いやすいところなど、自分が望む条件の職場を見つけやすい環境にあります。

クリニックで働く看護師の1日のスケジュール(例)

■08:15 出勤
予約されている患者のカルテを揃えたり、診療前の準備をします。
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■09:00 診療開始
医師の補助につき、必要に応じて問診やバイタル測定を行います。
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■11:00 医師の指示による処置
予防接種や健診の患者が多く、注射や採血などでアッという間に時間が過ぎていきます。
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■13:00 午前診療終了
お昼休み
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■14:00 午後診療開始
午前に続き、医師の診療の補助につきます。
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■15:00
より詳しい検査と診療が必要な患者に対して、外部検査の予約や医師からの紹介手続きの補助を行います。
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■18:00 午後診療終了
カルテチェック、物品補充、清掃をし、退勤

クリニックで働く看護師の平均年収

クリニックで働く看護師の平均年収
クリニックは基本的に入院患者はおらず、夜勤がありません。そのため、病院勤務の看護師より年収が少なくなる傾向にあります。平成30年度賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると、全国の正看護師の平均年収は479.9万円(准看護師は402万円)。医療機関ごとの調査データはありませんが、クリニック勤務の看護師の平均年収は400~450万円程度とされています。

クリニックで働く看護師 メリット・デメリット

クリニックは、日頃の体調管理や慢性疾患まで何でも相談できる「かかりつけ医」。子どもからお年寄りまで、地域の人にとっては身近で心強い存在です。地域密着で、一人ひとりの患者と向き合って仕事ができるのは、クリニックならではの魅力といえます。また、院長や看護師同士の距離も近く、多くがアットホームな職場となっています。

こうしたメリットの半面、院長や同僚との人間関係がうまくいかないと、逃げ場がなくなる可能性があります。人間関係は、相性が合う、合わないといった要素に左右されることもあるため、院長の考え方や職場の雰囲気を事前に知っておくことが大切です。

クリニックは、病院に比べて1日に来院する患者が少なく、病院のような夜勤や準夜勤はありません。多少の残業はあるかもしれませんが、日勤が基本である点は最大のメリットです。さらにまた、午前と午後で診療を区切り、昼休みがきちんと確保されているほか、多くの場合、診療は平日限定。土日の診療も昼だけというところが大半で、ゆとりをもって働くことができます。その一方、社会保険や福利厚生は、大きな病院に比べるとやや劣る面もあります。規則的な勤務時間を希望するか、待遇を希望するか、優先順位を決めて選ぶとよいでしょう。

クリニックで働く看護師のスキル・資格

クリニックの多くが求めているのは、「即戦力」となる看護師です。採用状況を見ても、病院や他の診療所で経験を積んだ看護師の求人が多い傾向にあります。病院である程度経験を積んでからクリニックへ、というコースが理想的かもしれません。また、看護師に任される範囲が広いので、知識やスキルに偏りがなく、基本的な看護業務がまんべんなくできる人が有利です。

クリニックで働く看護師が向いているタイプ

クリニックの看護師に向いているタイプ
勤務日と時間帯が決まっていて、規則的に働けるクリニックは、ワークライフバランスを大切にしたい人におすすめです。結婚・出産後にクリニックに転職し、子育てと両立させている人が多いのも、そうした働きやすい環境からです。また、地域に根ざし、地域の人のために働きたい人に適しています。親しみやすく、誰に対してもわかりやすい言葉で話し、患者の不安を少しでもやわらげるよう診療を援助できる人がよいでしょう。

病院と比べ、スタッフ数の少ないクリニックでは、当然、担当する仕事は多くなります。教育や指導体制が体系立っていないのが一般的なので、指示をただ待つのではなく、自分自身で考えて動き、能動的に仕事を進める必要があります。また、病院と違い、いろいろな診療科を経験することがないため、ある程度すると、仕事が同じことの繰り返しになる可能性があります。やる気を失わないよう、自ら意欲を刺激していくことも大切です。