幸手市のコミュニティカフェ 元気スタンド・ぷリズム、小泉さんによる地域活動
Miの1周年イベント講演レポートの今回は、会社員から転職してコミュニティカフェを開店させた小泉圭司さんの地域活動です。
前回レポートした東埼玉総合病院在宅医療連携拠点事業推進室室長・中野智紀ドクターとも連携し、介護予防を楽しく実現する場所です。
*医療系学生団体 Miを取材 → 1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)
地域で元気に活動して要介護リスクを低くする
「地域包括システムの一翼を担う活動をしています。私は、ずっとサラリーマンで、転勤族でした。転勤を繰り返していても、会社にいると知り合いがいるので、コミュニティがある。かみさんはかわいそうだ、と思っていましたが、ふと見ると、子どもを通して、学校関係やご近所にどんどん居場所が確立されている。自分のほうが、『会社を退職したら、会社以外のコミュニティがないから、孤立するだろう』と気づきました。地域につながりがないと要介護のリスクが高くなります。
報道では、国債の発行が多く社会保障費が膨らんでいると聞くけれど、調べると65歳以上人口の要介護認定者率は18%。思ったより少ないのです。18%でそんなに大変なら、今後その比率が上がり、高齢者がさらに増えたらどうなるんだろう?
社会保障費がさらに増えると、子ども達の世代につけを回すことになってしまう――。
幸手市のアンケートでは、『65歳以上の元気な高齢者が気軽に行けてくつろげる場所の情報が必要』という項目が1位、元気に活躍するフィールドがほしいのでは? そんなことをいろいろ考えているうちに、高齢者の居場所を作ることが必要だと思いました。
そこで、会社をやめて、『元気スタンド・ぷリズム』を作ったんです。ここは、誰でも立ち寄れる交流の場、コミュニティカフェです。介護予防の普及のために、と思っていますが、お元気な方々は、年寄り扱いされると抵抗があって参加したくなくなるもの。だから、『押し付けない介護予防』をコンセプトにしました。自主的に楽しむことが、結果として介護予防につながればいい。
幸手団地の1Fの空き店舗にお店を作りました。団地の人たちは、顔は見たことがあるけれど、知らない人が多い。家から出て、だれかとしゃべることが大切だと思いました。それで、いろんな人が興味をもてるように、お店ではさまざまなことを取り入れています。
要介護に陥る病気の予防情報をメニューに掲載、100マス計算つきのランチョンマット、昭和名曲のBGM、石の足湯、囲碁将棋リハビリゲーム機、歌声喫茶月1回、手作り展示販売などなど。高齢者世代が楽しめることを、あれこれ考えています。」
介護保険を使わないインフォーマルサービス

「コミュニティのもうひとつの課題である、地域の商店が次々に閉店する『シャッター商店街』の社会問題も、改善を図りたいと思っています。そこで、カフェの隣に惣菜店を開きました。
『元気スタンド・ぷライス』です。煮物、野菜中心の惣菜で体にやさしいメニューをそろえ、対面販売にして、お客さんと話せるようにしています。
そのほかにも、介護保険外のサービスを、地域の人が行い、地域の商品券をもらえるような『幸せ手伝い隊』事業、レンタルセニアカー事業、暮らしの保健室をカフェで開催、などなど。さまざまな事業を手掛けています。
行政がやると縦割りで融通が利かないことでも、住民がやるとたくさんの人達を巻き込むことができる。ネットワークが生まれる。介護保険を使わずにできるインフォーマルサービスは、さまざまあります。外出しない、交流しない人たちに元気になっていただいて、住み慣れた地域にどうにかして住み続けられる環境づくりを目指しています。
春には、恒例のたけのこ狩りツアーを開催したのですが、みなさん楽しんでくださいました。楽しむと、車いすから立ち上がれる方もいるんです。
高齢者が地域で元気に遊んでいられる環境づくりをすれば、介護保険費用もを減らせる。子どもたちに社会保障費がかからない。高齢者が遊べば、子どもたちが幸せになる。そんな事業を、これからも展開していきます。」
次回は、救急クリニックを立ち上げた上原淳ドクターのお話です。