毎回、看護や医療の最新情報を発信していくこのコーナー。
今回のテーマは「2015年 病院看護実態調査」の結果を発信します。

2016年4月、公益社団法人日本看護協会は、「2015年 病院看護実態調査」の結果を発表しました。この調査は、病院で働く看護職員の需要動向や労働状況、看護業務などを把握するために、全国の病院の看護部長を対象に行っている調査。
離職率、平均給与など、気になるデータがもりだくさんです。以下、簡単に結果をまとめてみましたので参考にしてください。

離職率は常勤10.8% 、新卒で7.5%

常勤看護職員の離職率は、10.8%で、前年度と比べて0.2ポイント減。過去5年間は大きな増減はなく、11%前後で推移しています。これは、各病院で継続的に、労働条件の改善や教育体制の整備などに取り組んでいる結果と考えられています。
また、新卒看護職員の離職率は7.5%で、前年度から変動はありませんでした。

都道府県別でみると、常勤看護職員の離職率が全国平均を上回っているのは、高い順に東京都(14.2%)、神奈川県(13.8%)、大阪府(13.7%)など。首都圏など大都市部で離職率が高い、という傾向が継続しています。

病床規模別では、常勤・新卒ともに、小規模病院ほど離職率が高い傾向が見られました。

設置主体別では、これまでの調査で離職率が相対的に高かったのは「医療法人」(13.5%)、「社会保健関係団体」(13.0%)、「個人」(12.5%)でしたが、これまで比較的低い離職率を保ってきた「国立」「公的医療機関」系の中で離職率の上昇が見られました。

勤続10年、31~32歳、非管理職の看護師の月額給与は?

「勤続10年、31~32歳、非管理職」の看護師の月額給与は、平均基本給245,426円。
通勤・住宅・家族・夜勤・当直手当を含んだ「平均税込給与総額」は、319,256円。前年度比で1,139円増です。

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また、2016年度採用予定の新卒看護師の予定初任給は、「高卒+3年課程」で、平均基本給198,777円、平均税込給与総額 262,013円。平均税込給与総額は前年度比で552円減となっています。
「大卒」では、予定初任給は、205,859円、平均税込給与総額269,788円で前年度比で1,018円減となっています。

中堅職員や新卒者の給与は、過去5年間は、ほぼ横ばいだったのですが、今回の調査で、新卒者の初任給が前回の調査と比べやや減少しています。

夜勤手当の状況は?

三交代制の準夜勤手当の平均は3,983円、深夜勤手当の平均は、4,953円。
二交代制の夜勤手当の平均は10,711円。いずれも前回調査(2014年)より若干減少傾向になりました。

夜勤手当は、2011年の調査までは、毎年少しずつ上昇する傾向にありましたが、2014年の調査から減少傾向に転じており、今後の動向を注視していく必要があります。

貴方の職場の離職率は?

一般的な企業でみると、比較的短期間のうちに成果を上げることが求められる仕事は離職率は高くなる傾向があり、逆に長期的な技術の蓄積、熟練を要する仕事では離職率は低くなる傾向があるといわれています。

また、離職率が低い(定着率が高い)企業は、社員が働きやすく、勤続年数が長くなることで運営が安定します。その一方で、人材が流動せず、組織が硬直化していることの反映とみることもできるそうです。

全国で見たとき、常勤看護師の離職率は10.8%でした。
では、あなたの職場の離職率は、この平均と比べてどうですか?

同じように計算し、比較してみると、何か気付くことがあるかもしれませんね。

<常勤看護職員の離職率の計算の仕方>
離職率=1年間の総退職者数(定年含む)/1年間の平均職員数×100

*平均職員数=(年度当初の在籍職員数+年度末の在籍職員数)/2
*常勤看護職員=フルタイム勤務および短時間勤務の正員(パート、アルバイト、臨時職員、嘱託等は含めず)

出典:日本看護協会「2015年 病院看護実態調査」結果速報

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