毎回、看護や医療の最新情報を発信していくこのコーナー。
今回のテーマは「看護職の求職・求人の最新事情」です。

求人倍率2.79倍 過去10年で最も高い数字

公益社団法人日本看護協会は、看護職の求職・求人に関する報告として、都道府県のナースセンターの登録データより2014年度の集計・分析結果(*)をまとめました。

「ナースが足りない!」「ウチで働いてほしい!」 という病院や施設の切実な声か聞こえてきそうなデータです。以下、簡単にまとめてみましたので、今後の転職の参考にしてください。

求人数について

気になる求人倍率については、2.79倍で、過去10年間で最も高い値となっています。2.79倍というのは、簡単に言うと、働いてほしいという求人が2.79件あるのに対し、働きたい人は1人しかいない、という状況。働きたいナースよりも仕事の方がどんどん増えているのです。

また、求人数(18万5578人)の内訳については、「病院」が46.4%、「診療所」が11.6%、「介護保険施設・事業所」18.1%、「訪問看護ステーション」7.9%などで、病院以外からの求人が半数を超え、介護保険施設・事業所、訪問看護ステーションからの求人が増加しています。

雇用形態の内訳については、「常勤」(期間に定めのない雇用)が63.6%に対し、「非常勤」(期間の定めのある1カ月以上の雇用)が32.3%となっています。なお、求人数の雇用形態別の割合は、2009年度以降ほぼ同じ割合で推移しています。

求職者数について

ナースセンターへ登録した求職者(6万6477人)の内訳は、「20歳代」11.2%、「30歳代」31.1%、「40歳代」35.6%、「50歳代」15.4%、「60歳以上」6.6%。40歳代以上が6割近くを占めています。30歳以下が減少傾向にある一方、40歳代は増加傾向にあります。

希望する雇用形態は「常勤」55.1%に対し、「非常勤」35.5%。雇用形態別の割合は、求人数同様に、2009年以降、ほぼ同じ割合で推移しています。

求職者の登録時点の就労状況については、「看護師として就業中」51.9%に対し、「未就業」46.1%と潜在看護師の登録が半数近くを占めていました。

求職者および求人の紹介・就職の状況

求人の枠が18万5578人分あるうち、紹介された求人は1万7083人、紹介率は9.2%でした。そのうち、採用に至った求人は1万1584人で、採用率は67.8%、全体の求人に対する採用の割合は6.2%となりました。

一方、ナースセンターに登録している求職者6万6477人からみると、施設へ紹介された求職者は1万7083人で、その紹介率は25.7%でした。紹介された求職者のうち、実際に就職した人は前述の通り1万1584人。最終的な求職者に占める就職者の割合は17.4%となりました。

上記のデータから読み取ってみると、紹介まで至った求職者に限れば、就職率は67.8%。7割近くとなっていて、かなり高い割合で就業に結びついている実態がわかりました。
ただ、そもそも紹介に至らない求人も多いようです。

売り手市場の看護職。世の中のニーズが高まっているからこそ、求職者と求人する側、それぞれの求める条件がぴったりマッチするのは、なかなか難しいことなのかもしれません。

働くナースからすると、今は、引く手あまたのチャンスの時期。しっかり吟味して、自分に向いた仕事、自分をいかせる仕事を見極められるとよいですね。

*「平成26年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析報告書」

*都道府県ナースセンター:都道府県の看護協会は看護職の職業紹介や復帰支援事業などを実施しており、22支社を含む、全国69カ所に設置されている。

ナースエージェントの求人数は国内最大級! エリア・業種など、様々な条件で検索できます。