大手企業で6年勤務したのち、ナースに転身したS・Iさん。きっかけは、たまたま出会ったナースさんの一言でした。
看護学校に行こうと決めたのは、26歳の時。Iさんの挑戦は、転職を考えている人に、新しいことを始めるのに年齢は関係ないこと、いつでもなりたい自分に向かって努力すれば道は拓けるということを教えてくれます。4回にわたってお伝えするS・Iさんの転職ヒストリーをじっくり読んでみてください。

*Iさんの転職ヒストリー 1回目2回目3回目4回目(最終回)

S・Iさん(42歳)のプロフィールimage003

●看護業界歴…10年

●看護の仕事に就く前…金融系大手企業

●転職回数…4回

●いままでの勤務先…大学附属病院(循環器内科・心臓血管外科)、クリニック(人工透析室)、医院(小児科・内科外来)、老人ホーム(健康管理室)

●保有資格…正看護師

直感にしたがい、思い切って看護学校進学を決意

短大を卒業後、金融系企業に就職。審査部門を経て、品質管理部門でマーケティング調査を行っていた入社6年目の夏のことです。ボランティアで行き始めていた老人ホームで、一人の看護師さんと出会いました。

老人ホームのボランティアは、学生時代の友達が誘ってくれたもの。イベントの時にお茶を出したり、お年寄りとお話しをするくらいなんですが、人との触れ合いが楽しくて、こんな世界もあるんだなと思っていました。それで、本当に何気なく、「介護の資格って、すぐ取れるんですか?」と、そばにいた方に聞いてみたんですね。
なんと、その方はナースさんで、こう答えてくれました。
「介護もいいけれど、看護に興味はないの? まだ若いんだから、これから看護学校に行ってもいいんじゃない? いまはOLから看護師になる人も多いのよ」

その方とは、それからお会いしたことはありません。どういうつもりでそんな話をされたのかもわかりません。ただ、そのときの私には、新しい世界の扉が開き、「こっちの道へ進みなさい」と指し示してくれているように思えました。
というのは、これからの働き方をどうするか、考えていた時期でもあったからです。

当時、仕事は面白く、充実していました。若手にもどんどん仕事を任せてくれ、風通しのいい会社です。一般職から総合職への道も開かれていて、そろそろ私も総合職試験を受け、主任になるように言われてもいました。

ただ、当時の大手企業はどこもそうだったと思いますが、女性は結婚・育児で、退社するのが普通。身近にいたとても優秀な先輩も、育児が落ち着いた数年後にまた職場に戻ると、派遣社員となり電話応対業務でした。そんな現実を目の当たりにして、「あんなに能力が高かった人なのに、もったいないな」と思っていました。

結婚の予定があったわけではないんですよ(笑)。ただ、せっかくキャリアを積んでも、一度その会社を辞めたら、そこで終わり。私のいまの働き方はそうなのかな?と感じていて。

だから、一生働いていける看護師という職業を聞いて、スイッチが入ったんだと思います。すぐに看護師について調べ、看護学校の入試情報を集め始めました。

後戻りはできない。看護学校入学後も勉強あるのみ

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ちょうどそのころ、自分が担当していた市場調査が終了しました。責任のある仕事をやり遂げたところで、看護学校を受験したいこと、合格したら退職したいことを上司にお話ししました。

突然の申し出に上司は驚かれたようでしたが、理解を示してくれたばかりか、こんなふうに応援の言葉まで掛けてくました。
「看護師という職業は、社会になくてはならないもの。頑張って挑戦する価値があると思う。もし受験が失敗したら、また一緒にここで働きましょう」

私の気がラクなように気遣ってくれた上司に、もちろん甘えるわけにはいきません。3月の入試まで半年。「後戻りはできない」と心に決め、帰宅後と休日は試験勉強に励みました。

短大に進学した時に受験は経験していますし、専攻は国際関係だったので、英語と国語は、軽くおさらいする程度。理系科目に絞って集中的に勉強しました。
こうして、大学病院の附属看護専門学校の一般入試に合格。6年間勤めた会社を退職し、再び学生となりました。

看護学校の同期生は80人。そのうち、社会人経験者は6人。一番年齢が上の人は32歳で、26歳の私は三番目。大学卒業と同時に入学した人もいて、本当に年齢も経歴もさまざまでした。
でも、誰も年齢のことなんて気にかけていません。32歳も、26歳も18歳も、みんな、ゼロからのスタート。学年の半数が進級できず、留年しなければいけないほど厳しい学校だったので、ひたすら勉強、勉強の毎日でした。

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次回は、看護学校を卒業し、大学附属病院で新しい一歩を踏み出した日々をお伝えします。

*Iさんの転職ヒストリー 1回目2回目3回目4回目(最終回)

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