39歳の時、出産。それから子育て中心の生活を過ごしているS・Iさん。待望のママになるまでにもさまざまな出来事があり、そのたびに家族の絆の大切さを考えてきました。
「娘も家族も大事。でも、自分のこれからも大事」。本格的に仕事を再開する日に向けて、いままた、「自分はどんな看護師でありたいのか」を見つめ直しています。

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S・Iさん(42歳)のプロフィールimage003

●看護業界歴…10年

●看護の仕事に就く前…金融系大手企業

●転職回数…4回

●いままでの勤務先…大学附属病院(循環器内科・心臓血管外科)、クリニック(人工透析室)、医院(小児科・内科外来)、老人ホーム(健康管理室)

●保有資格…正看護師

かけがえのない家族の絆について考えたとき

2011年3月11日。東日本大震災の激しい揺れが襲った時、私は勤務中でした。東京でも帰宅困難になった方が大勢いらっしゃいましたよね? 私もそうでした。

当時勤務していたのは、要介護度の高い患者さんが多いクリニックで、みなさん、普段は車椅子を使われていました。停電でエレベーターが使えないため、シーツをハンモックにして階上から降ろし、送迎バスでみなさんを送り終えたのが、夜の8時。それから車で自宅に帰ると、もう夜中を過ぎていました。

不安に拍車をかけたのは、夫が福島に長期出張していたことです。翌日やっと連絡がとれ、安心はしたのですが・・・・。地震と、それに続く原発事故のショックは大きく、それからしばらくの間、夫から笑顔が消えました。
もともと明るく天真爛漫な夫です。そんな夫でさえ落ち込んだのですから、被災地の方々の恐怖や絶望はどれほどだったでしょう。地震の怖さを知り、改めて家族の絆の大切さについて考え直しました。

実は、以前から不妊治療をしていて、私の気持ちもつらくなっていた時でした。
転職しようと思ったのは、もしまた大地震があった場合でも、歩いて自宅に帰れるところにしたかったのが直接の理由。でも、本当は、環境を変え、気持ちをまた前向きに切り替えたかったんだと思います。

次の勤務先は、小児科と内科外来の医院。何かあっても、すぐ家に歩いて帰れるところです。また、不妊治療をしていることも院長先生にお話ししたところ、こう言っていただけました。
「自分が小児科医をやっているのは、日本の子どもたちのため。君が子どもを授かりたいんなら、もちろん喜んで協力するよ」

本当にありがたかったですね。いつも良い上司に巡り会え、励まされ、助けてもらって、ここまでやってこられたように思います。

家族も、自分のこれからも大切に

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その医院に転職して3カ月後に妊娠しました。結婚して9年。欲しくて、欲しくて、やっと授かった赤ちゃんです。子育てに専念したかったので、産休ではなく仕事をいったん辞めることに決め、転職10カ月後にその医院を退職しました。

娘が2歳になった去年から、老人ホームで仕事を始めました。といっても、夫が娘を預かってくれる日だけなので、月に3日か4日ほど。今年の春から娘が幼稚園に入ったので、幼稚園に行っている午前中だけクリニックなどで働けたらいいなと思って、探し始めているところです。

娘が小学校2年くらいまではパートで働き、それから常勤で・・・。いまはその程度の展望しかありません。でも、先のことを考えると、やはり少し心配です。
新しい医療も入っているだろうし、早く現場に戻って勉強しないと乗り遅れる。現場から離れていたり、社会的に所属していた場所から外れている不安がいつもあります。

でも、不安を感じるときは自分の大切なものを思い出すようにしています。娘が大事だし、家族が大事。そして、自分のこれからも大事。

だから育児優先のいまは、自分はどういう看護師でありたいのか、日々、自分自身に問うようにしています。
というのも、看護師の資格を持っていれば確かに仕事はあるんです。いざ復帰するときも、たぶん転職にはそんなに困らないかもしれません。でも、そうした状況に甘えていると、自分のコアの部分が見えなくなるような気がするからです。

「あなたはどうしてこれを選択したの?」「それで患者さんはどう思うの?」
これは、看護師となって駆け出しの頃、大学病院の主任が、いつも言ってくれたことです。それからは、何かに迷った時、この言葉を思い出し、主任だったらこんな時、どうするだろうかと考えてきました。

幾つもある選択肢の中から、自分にとってベストなものを選べるように。「私はこんな看護師をめざしています」と胸を張って答えられるように。自分自身に問いかけながら、これからの働き方と生き方を考えていくつもりです。

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