介護施設では、介護職員とナースの間に溝があるというような話を聞いたことがあるかもしれません。
J・Kさんが働いてきた職場は、そんなことはまったくなし。誰に対してもウエルカム。コミュニュケーションも緊密で、信頼しあっていたそうです。それだけに、ずっと一緒に働いていた介護職員が辞め始めたときから、「ここはいままでのように働きやすい職場ではなくなっているのかも?」という思いが募っていきました。

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J・Kさん(39歳)のプロフィールimage003

●看護業界歴…19年

●看護の仕事に就く前…看護専門学校

●転職回数…5回

●いままでの勤務先…総合病院(内科)、個人病院(外科、内科、整形外科)、介護老人保健施設、デイサービス、特別養護老人ホーム

●保有資格…准看護師、正看護師

看護師と介護職員、お互いに尊敬しあう

病院勤務は6年、介護施設は10数年。気づけば、介護の現場のほうが病院よりずっと長くなりました。この間も何度か転職をしていますが、一番長かったのは、去年まで8年間勤めた介護老人保健施設です。

ここは本当に人間関係が良く、働きやすい職場。ケアさん(介護職員)とナースが対立するなんてことは全然なく、お互いに尊敬しあっているんですね。
「看護師さんは私たちの仕事を手伝うことができるよね。でも、私たちは医療行為ができないから、看護師さんがいないと限界があるの。だから心強いし、頭が下がるのよ」
こんなことをケアさんたちはサラッと言ってくれるんですよ。
もちろん、私もケアさんたちを信頼していましたし、利用者さんに適正な処置ができるのはケアさんのおかげだと思っています。

私が一番尊敬するケアさんの話をしてもいいですか? 介護職員で大親友のSさんは観察力がすごいんです。たとえば、咳の仕方ひとつでも、いつもとちょっと違ったら、その少しの違いを察知する。いつもは歯の話をしない人が歯の話を始めたら、「歯が痛いのかな?」とすぐ気づく・・・。
彼女は認知症棟を担当しているので、どこか具合が悪くても自分から訴えることができない利用者さんの体調不良をこうして見逃さずに教えてくれるんですよ。

私は日勤だけだったので、早番も遅番も夜勤もあり、ずっと認知症の方をみているSさんから話をよく聞くよう心がけましたし、もちろん他のケアさんからも。そうして利用者さんの日々の変化を知れば、先回りして処置ができるからです。

ベテランが辞め、職員のレベルが次第に下がる

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介護から看護へ情報を上げてもらうだけでなく、看護から介護に伝える場面も多くあります。というのは、熱や血圧などを測ったり、健康管理をしているのが、私たちナース。利用者さんの具合が悪そうだと判断したら、「いつもの起床時間に起こさず、ゆっくり休ませてください」とか、「今日の食事はお部屋で食べるようにしてください」というような指示を出します。

こちらがきちんと伝えていないとケアさんは迷うし、気づかないままいつもの業務の流れで起こしてしまう人も・・・そういう時は「私が言わなかったのが悪かった」と反省し、気をつけるようにしてきました。

働きやすい職場で長くいられたのは、みんな仲が良く、コミュニケーションをよくとっていたからだと思います。私だけでなく、みなさんがそう思っていて、「ここでずっと一緒に働きましょう」と言っていました。
ところが、ベテランのケアさんが一人、また一人と辞めだした頃から、様子が少しずつ変わってきたのです。

ベテランが辞め、代わって新人が入ってきました。利用者さんとの対応の仕方がわからない、記録の仕方がわからない、技術がない・・・新人ですから、それは仕方ないし、いいんです。ただ、職員の質がみるみる落ち、もっと悪いことに、そうした新人を育てようという風土までなくなっていきました。

一番の原因は経営方針が変わり、利益を追求するようになったことだと思います。同じ施設でも、経営方針が変わると現場の士気が下がり、それがイヤで優秀なベテランの方が辞める。すると新しく入ってきた人たちを育てる人がいなくなり、介護のレベルが下がる。それがイヤでまた人が辞める・・・・。
「辞める人がいない、いい職場」と思ってずっとやって来ましたが、そろそろ潮時と考え、退職を決めました。

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最終回は、「介護施設が自分の一生の場」と決め、新しい職場に移ったJさんの思いをお伝えします。

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