病院勤務から介護の世界へ進んだS・Mさん。「転職はすべてステップアップのため」と心がけているため、お給料などの待遇面以上に、やりがいをもって働き、自分を高められるかどうかを重視してきたそう。こうして、ナース業務だけでなく、レクリエーションや経営管理、そして介護も…と、たくさんの仕事を経験していきます。

*Sさんの転職ヒストリー 1回目2回目3回目4回目(最終回)

S・Mさん(41歳)のプロフィール

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●看護業界歴…20年

●看護の仕事に就く前…看護専門学校

●転職回数…5回

●いままでの勤務先…大学附属病院(婦人科)、市立病院(内科、婦人科、産科、透析科、保育園)、有料老人ホーム、デイサービス、老人保健施設、シニアマンション

●保有資格…正看護師

介護のスタッフに、こちらから歩み寄る

image003有料老人ホームに転職し、勤務が始まる前に、介護業界のことを勉強してみました。どんな職業の方が働いていて、どういう仕事をされているのか・・・図書館に行き、介護の教科書も一通り読みました。

ところが、実際に働いてみて驚いたのは、こちらが介護の方々を理解したいと思っても、相手はそうでもない場合が多い、ということでした。

「座ってお薬を出したり、健康管理の指示をしているだけなのに、お給料がよくて、ずるいよね」
「ナースさんって、オムツの当て方とかわかるの?」

意地悪とかではなく、本当に何の気もなく、年下のヘルパーさんからそう言われたこともあるんですよ。驚きました。でも、どんな勉強をして看護師免許を取得しているかや、看護師の仕事内容を知らないと、そんな風に見えるものなんだなと、ある意味で目からウロコでした。

ナースと介護の方々との間には壁みたいなものがあるとは、以前から聞いていました。確かに、シーツ交換ひとつとっても、私たちが習ってきたやり方と違う部分もあります。でも、そこで縄張り意識を出して張り合っても意味がありません。

壁があるなら、こちらが歩み寄ればいい。そう思い、レクリエーションを一緒にやったり、外出イベントを企画したり、できる限り協力しました。

余計なことかもしれませんが、ナースも介護職も、互いに“教わり上手“になったらいいと思うんですね。そうすれば理解しあえ、お互いに高めあっていけます。私は人のいいところを見て、すぐ取り入れてやってみたい性格なので、いろいろなことを学ぶことができました。

3年ほど、その有料老人ホームで働き、そろそろ次のステップアップをしたいと思い始めたときです。自宅から徒歩5分ほどのところに、ちょうどデイサービスの施設がオープン。見学に行ってみると、社長がこう話してくれました。

「仕出し弁当とかではなく、手作りで食事を出したい。温かいものは温かく、そして、暑い日なら、氷の上にお料理が散りばめられているような。そんなちょっとした感動を与えられるサービスがしたいんですよ」。
私がめざしていることが、ここならできるかもしれない! こうしてまた転職しました。

お年寄りが、楽しく、安心して生活できるように

image005そのデイサービスでは、レクリエーションのプランも、私が全部考えました。桜の季節には、朝からお弁当をつくり、重箱にきれいに詰めてお花見へ。梅酒や干し柿づくりをしたり、お花を植えたり・・・病院勤務の時代に保育園にいて保育士さんたちを見ていましたし、前職の有料老人ホームでもレクリエーションを手伝っていたのが役立ちました。

また、しばらくすると管理者をやってくれるよう言われ、売上などの数字管理にもタッチ。なんでも打ち込むタイプのせいか、これもやってみると面白い。経営が軌道に乗り、収益が増える方法をいろいろ考えては実行していきました。

ところが、売上増に貢献するのは嬉しい半面、社長がお金儲け主義になっていくように感じ始めたのです。実の子どもたちを経営陣に入れるようになり、高級車の台数が増え…「感動を与えるサービスをしたい」という当初の理念はなんだったのだろう? 自分が頑張っている意味が分からなくなり、2年ほどして辞めました。

介護系に入って、この5年から7年目めくらいが、私にとっては一番厳しい時期だったかもしれません。自分は何を目指したいのか分からなくなり、次の転職先を探すときは、お給料などの条件面でしか選べなくなっていました。あとは、とにかく家族経営じゃないところを、と(苦笑)。

で、結局、そんな視点で見つけたのは、近くの介護老人保健施設でした。お給料がよかったのと、リハビリを学んでみたい思いもあって決めました。介護業務をやりつつナース業務もやるという状態で、かなり体を酷使しましたね。
勤務がきついのはまだしも、つらかったのは、人手が足りず、誰もがピリピリせざるを得ないことでした。認知症のご老人に「死んでしまえ」と暴言を吐くスタッフを目にし、思わず泣いてしまったことも・・・。

一人ひとりの方を人間として大切にし、心をこめて向き合いたい。これまで頑張って生きてきたご老人に、1日でも長く楽しい生活をさせてあげたい。自分がステップアップを目指してきたのは、そうしたホスピタリティのある仕事をしたかったから。そう気づいたとき、違う場所に行ってみようと思いました。

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最終回は、いままでの夢をかなえ、生き生き働くSさんの「いま」をお伝えします。
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