毎回、現役の看護師のリアルなお悩みや、役立つ豆知識をお伝えしていくこのコーナー。
今回のテーマは、前回に引き続き「クレーム対応法」。師長も経験されたベテラン看護師Aさんよりお話を伺いました。

まずは自分の態度について再確認してみよう

「だれでも自分自身の横柄や傲慢な態度には気づかないことってありますよね。看護師の場合でも、患者さんやご家族からクレームがあり、自分の態度に気づくということがあります。
ここで大切なことは、『私は、きちんと対応しました』と考えるのではなく、患者さんやご家族がどのように感じ、受け取ったかだと思います。

無意識のうちに、気取ったり、偉そうな態度をとっていると、相手との間に心理的な隔たりができてしまいます。これが、問題をより大きくすることもあるのです。
また、業務の忙しさから、仕事を早く進めようと、心のこもっていない対応をするなど、看護師に対するクレームは『不快な態度』が原因になっていることが多いように見受けられます。」

いつでも、どこでも見られていることを意識する

「看護師という職業柄、いつでも、どこでも見られているということを常に意識する必要があります。専門職としての自覚を持ち、節度ある態度をいつも心がけることが必要です。
また、クレームがあったら、まずはこのように対応するのが、経験上良いと思いますね。

・最初に謝罪のことばを述べる(もちろん心から)
・相手の話を最後まで、時間をかけて聞く(きちんと丁寧に聴くことが重要)
・事実確認をする(あやふやにせず、時系列で確認する)
・迅速に対応する(早ければ早いほど良い)」

クレーム対応の手順

「クレーム対応には、5つの手順というものもあります。

例えば、大声を出している患者さんがいたとします。

その1:すぐに確認し、お詫びする

『大変申し訳ありません』『大変お待たせいたしました』『どうなさいましたか?』『何か失礼がありましたでしょうか?』と、その場に応じてお声掛けをする。もちろん、患者さんのところへは急行してください。

その2:患者さんが今、何をして欲しいかを把握する

訴えている内容をまず理解すること。そして、緊急で動くべきかどうか、どのように対応すれば満足いただけるのかを考えます。

その3:患者さんのいうことを最後まで聞く。話には決して割り込まない

だいたいの内容が把握できた後も、無理に話を切らずに相づちやメモをとるなど、誠意を持って最後までお話を聞いてください。決して『それは誤解です』『それは違います』など、患者さんが話している途中で、口をはさまないように十分気を付けてください。

その4:患者さんの立場に立ち、要望にはできるかぎり応える姿勢を示す

こちら側の事情を丁寧かつ正確に説明し、患者さんの要望にできるだけ答えますという姿勢を表明します。

その5:もう一度お詫びの言葉を伝える

患者さんの元を離れる際に、最後にもう一度、心からお詫びの言葉を伝えましょう。

自分が困ったときほど、相手に寄り添う気持ちを、言葉と表情で表現してみてください。例えば、心配な表情をされている患者さんには、最初は心配そうな表情で寄り添い、患者さんの気持ちがほぐれ、リラックスしてきたところで、笑顔で対応してみましょう。笑顔は患者さんに安心感を与え、自分も心も安定させる効果があります。」

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さすがは元師長、参考になるポイントがいろいろありました。

クレームは、どの職場、職種にも存在しますよね。
ただし看護師の場合、職業柄、命にも直結するため「この次から気をつけます」という言葉では済まされない場面もあります。

逆に看護師として、クレームを発生させず、もし発生してもきちんと対応できるようになれば、それは素晴らしいスキル。どの世界でも生き抜いていける財産ともいえるのではないでしょうか。