病棟で働こうと思ったら、多くの場合は日勤と夜勤のシフト制で勤務することになるでしょう。夜勤がはじめての人には、「何時間勤務するの?」「仮眠はとれるの?」などいろいろ気になるところ。そこで今回は、夜勤についての不安を少しでも払拭してもらうため、夜勤の種類から「夜勤のあるある事例」まで幅広くご紹介します。

夜勤の種類

病院看護師のシフトには、2交代制と3交代制があります。日勤/夜勤の2つに振り分けたのが2交代制。夜勤をさらに2つの時間帯に分け、日勤/準夜勤/深夜勤の3つに振り分けたのが、3交代制です。2交代制の夜勤は、日勤より引き継ぐ夕方から翌日の朝方まで。3交代制の準夜勤は夕方から深夜まで、深夜勤は深夜から翌朝までの勤務分担となります。

2交代制の夜勤は拘束時間が長く、それがデメリットです。しかし生活リズムが作りやすいほか、夜勤明けに連休を取りやすいというメリットもあります。
3交代制の夜勤のメリットは、2交代制に比べて拘束時間が短いこと。その代わり夜勤回数は多くなり、すぐに次の夜勤が回ってきます。生活のリズムが崩れやすいというデメリットもあります。

2交代制の病院もあれば、3交代制の病院もあります。3交代制を採用している病院が多いようですが、最近は、シフトが複雑で人員確保が難しいことなどから、2交代制に切り替える病院が増える傾向にあります。転職先選びの際は、志望先の勤務体制を確認するとともに、2交代制と3交代制のどちらが自分にとって働きやすいかを検討しましょう。

夜勤って何時から?どれくらいの勤務時間があるの?

夜勤では、具体的に何時から何時まで勤務しているのでしょうか? 勤務時間を一般的な例で比べてみましょう。

■2交代制
日勤/8:00~17:00(8時間勤務)
夜勤/16:00~9:00(仮眠時間を含む16時間勤務)

■3交代制
日勤/8:00~17:00(8時間勤務)
準夜勤/16:00~24:30(8時間勤務)
深夜勤/24:00~8:30(8時間勤務)

それぞれ途中に休憩をはさみながら勤務します。一般的な例だと、3交代制の場合に深夜の帰宅と深夜の出勤となるため、時間をずらしている病院もあります。

夜勤の休憩時間ってどれくらい?過ごし方は?

2交代制の夜勤は、約16時間の長時間勤務。その間に2~3時間程度の休憩をとり、交代で食事や仮眠をとるのが一般的です。救急搬送や患者の急変があったときは、すぐに勤務に戻る必要があるため、横になって体を休めることはできますが、熟睡というわけにはいかないでしょう。急変などで忙しいと、仮眠どころではないまま、勤務を続ける場合もあります。
しかし急変など緊急対応の少ない病院であれば、仮眠でしっかり体を休め、夜勤明けの日は午前中からフルに活動することも可能。平日昼間の空いている時間に、テーマパークへ遊びに行ったり、美術館巡りをしたり、夜勤明けならではの楽しみ方もできます。

3交代制の場合は、準夜勤、深夜勤とも実働8時間の中で45分~1時間程度の休憩を取ります。2交代の夜勤に比べて勤務時間が短いので、休憩室で軽く食事をしたり、テレビを見たり、ソファで横になって体を休めたりします。

夜勤ありや夜勤専従の場合の平均給料

夜勤をこなすメリットの1つが、高収入を得られること。日勤+夜勤で働いた場合の年収の相場は、480万程度。それに対して、日勤のみで夜勤がない人の相場は、400万円程度です。この差は夜勤手当の有無です。
看護師の収入に大きな割合を占める夜勤手当は、夜勤の種類でも異なります。

■2交代制の夜勤手当
夜勤1回あたり/11,026円

■3交代制の夜勤手当
準夜勤1回あたり/4,141円
深夜勤1回あたり/5,033円
(日本看護協会「2019年病院看護実態調査」より)

2交代制だと夜勤勤務は平均で月4~5回程度、夜勤手当で月4万~5万円稼げます。3交代制は準夜勤・深夜勤合計で平均月7~8回こなし、夜勤手当は月3万~4万円です。
そのうえ、労働基準法で定められた22時~5時までの夜間勤務に対しては、深夜割増賃金も加算されます。

ところで、看護師の働き方の1つに「夜勤専従看護師」があります。名前のとおり、夜勤シフト専門に働く看護師です。体力的には楽ではありませんが、その分、少ない勤務日数で高収入を得やすいと人気があります。1回30,000円以上の高額求人もあり、3交代制の人の1カ月分の夜勤手当を1回の勤務で受け取ることに。月10回ほどの勤務で、月給40万円超、年収650万円も可能です。
もし、夜勤が苦にならない人、プライベートの時間を充実させたい人、効率よく高収入を得たいという人は、夜勤専従看護師という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

夜勤の心得と注意点

これから夜勤を始めようとしている方のために、夜勤の心得と注意点をまとめました。

1. 生活リズムを崩さない

夜勤に備えて昼寝をしたり、いつも以上に長く寝てみたり。夜勤だからといって、特別に備える必要はありません。いつもより長く寝て夜勤に臨んでも、体内時計は正直で、眠くなるときは眠くなってしまいます。夜勤を意識しすぎて生活リズムを崩すほうがよくありません。しっかり自分の体調管理をし、夜勤前日の睡眠はいつもどおりでOKです。
また、生活リズムが狂うと、身体だけでなくメンタルにも負荷がかかります。生活リズムを崩さないためにも、オフの時間をしっかり楽しむことも心がけましょう

2. 少ない人数での対応をシミュレーション

夜勤では、すべての業務を日勤よりも少ない人数でこなさなければいけません。急変や急患にも臨機応変に対処し、次々と的確な対応をとることが求められます。とはいえ、最初から臨機応変にというのも無理な話。夜勤マニュアルをもういちど頭に入れ、急変したときの対処法、医師への連絡など、シミュレーションしておくとよいでしょう。そして、緊張感こそ夜勤のやりがい、その心意気で仕事に臨みましょう。

3. 患者の豹変も頭に入れておく

昼間は穏やかだった患者が、夜になると大声を出したり、暴れたりして豹変するということもよくあること。夜勤を担当する看護師は、患者の小さな変化を見落とさない注意力も大事です。油断せず、夜間ならではの急変に焦らず対処できるように準備しておきましょう。

4. エネルギー補給、気力回復のためのおやつも大事

とくに2交代制の夜勤は長時間の拘束なので、最初は朝までが本当に長く感じるはず。途中、休憩や仮眠があっても疲労はピークに達します。そんなとき自分を励ますためにも、好きなおやつを準備しておきましょう。簡単につまめるドライフルーツやゼリー系飲料などがおすすめ。糖質オフのものを選ぶのもグッド。血糖値が上がりすぎると眠気が襲ってくるので、食べ過ぎにはくれぐれも注意してください。

夜勤あるある

仲間同士で話していて、妙に納得したり、共感したりする「あるある事例」。今回は、夜勤にまつわる「あるある事例」をまとめてみました。

「今日は落ち着いてますね」と口にした途端……

今日は急変もなく、平和だなあと思った途端、無意識に出てしまう「今日は落ち着いてますね」のフレーズ。ところがこの言葉を発した途端に、まるで魔法が解けたかのようにそれまでの穏やかな夜勤が一変。急患がどっと押し寄せ、急変が続き、怒濤の一夜と化してしまう。不思議ですが、夜勤をした看護師の多くが実体験済みのあるある事例です。


夜勤の前は眠れない

「夜勤に備えて今のうちに寝ておこう」と思ったら、たぶんもう眠れません。夜勤前に昼寝をしようと、わざと夜更かししてみたり、いろいろ努力はするものの夜勤前に限って眠れたためしがない、という声をたくさん聞きます。夜勤前は、眠れないと考えておいた方が良いでしょう。

仮眠も寝付けない

身体は疲れていても、いつナースコールが鳴るかと気になっているせいか、仮眠したくても眠れないという声も多く聞きます。ところが、朝方になると決まって眠気が襲ってくるというのも多くの人に共通のよう。ちょうど朝食の配膳など忙しくなる時間帯。仮眠のときに眠れなかったことを恨めしく思いつつ、眠気と闘うしかありません。

夜勤明けは気が大きくなる

夜勤を無事に終えた開放感とストレスを発散したい気分、さらに寝不足が重なって、テンションが高くなりがち。とくに夜勤明けの買い物は危険がつきもの。高額なものを買ってしまったり、それほど欲しかったわけでもないグッズを買ってしまったり…。多くの体験者がいるので、みなさんも気をつけましょう。

夜勤専従を希望する場合に使える志望動機例文集

病院・病棟の夜勤専門で働きたいと考えている人のケース

子どもが寝ている間に働きたいため、夜勤専門を志望しました。現在は総合病院で勤務しており、夜勤の経験もあります。また、夜勤リーダを務めていました。的確な指示と、現場を引き締めつつピリピリしない雰囲気作りに努め、「一緒の夜勤の時は安心」と同僚や後輩に言われることもあります。想定外のことが多い夜勤ですが、今までの経験を活かして力を尽くします。

子どもが就寝中に働きたいと考えている人のケース

→夜勤専門で働ける病院・病棟での勤務を希望

実母と中学生になる息子と暮らしています。母が息子を見てくれているので、夜間に働きたいと考えたとき、貴院の募集を知りました。現在働いている総合病院では、外来・病棟・夜勤リーダーの経験もあります。急変や救急搬送が多い夜勤では、チームワークが大切だと考えているので、採用された際には皆様と良好な人間関係を築き、1日でも早く戦力になれるよう頑張ります。

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