ナースが知っておきたい資格をご紹介。キャリアアップのための看護の専門資格から、福祉や癒しの世界へ飛び込む資格など、さまざまな種類があります。新しい目標が見つかるかも!
今回は「社会福祉士」です。

社会福祉士とは、どんな資格?

社会福祉士とは、児童福祉、高齢者介護、障害者支援、生活保護など、福祉全般に関する相談援助を行うソーシャルワーカーのこと。福祉分野では日本初の国家資格として、昭和62年に誕生。介護の充実強化や民間のシルバー事業の発展を目指して制定された、日本の社会福祉制度を支えるエキスパートともいえる資格です。
社会福祉士は、病気や障害などで日常生活を送ることが困難になった人や、その家族の相談を受け、公的支援や地域のサービスを提案し、安定した生活ができるようにサポートします。平成28年7月末日時点での登録者数は201,260人。高齢化社会を迎え、その役割がますます重要になっている国家資格です。

どんな人に向いている?

社会福祉士の主な仕事は、相談援助業務です。利用者とその家族の要望をよく聞き取り、どのようなサービスを利用できるか一緒に考え、的確な情報提供をすることが必要になります。相手の立場に立ってコミュニケーションを取れる人に向いています。
また、福祉の分野は法改正が頻繁に行われています。多様で複雑な社会福祉制度に対する最新知識を身に着けていなければならないため、つねに勉強を欠かさない人が望ましいでしょう。

どんな場所で活かせる?

社会福祉士の主な就職先は、社会福祉事務所、社会福祉協議会、地域包括支援センター、障害者支援センター、介護老人保健施設など。また、病院などの医療施設や行政機関など、活躍の場は広がっています。

介護の相談業務を行う時に、必ずしも社会福祉士の資格が必要ではありません。職種名も、生活相談員、生活指導員、ソーシャルワーカー、療育指導員など、働く場所によってさまざまです。こうした相談業務に就いている人のすべてが社会福祉士の資格を持っているわけではありませんが、募集の条件に社会福祉士の資格を指定しているところが多く、就職や転職に有利になります。

どうしたら資格がとれる?

社会福祉士国家試験の受験資格を得るためには、大きく4つのルートがあります。

1.福祉系の4年制大学で指定科目を修めて卒業する
2.福祉系の短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設で2年以上(または1年以上)相談援助の業務に従事する
3.社会福祉士短期養成施設(6カ月以上)を卒業する
4.社会福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業する

以上のいずれかの要件を満たした上で、社会福祉士国家試験を受け、合格すれば資格を取得できます。

受験資格を得る方法は複雑で、正確には11種類のルートがあります。また、改正も頻繁に行われるため、最新情報を確認してください。

*詳細は、社会福祉振興・試験センターのホームページを参照

資格取得のための教育や講習の内容・期間

どのル-トで受験資格を得るかによって内容や期間は変わってきますが、ゼロからのスタートでめざすには、どんなルートであっても最低4年かかります(上記の3と4、短期養成施設と一般養成施設で学ぶ場合も、4年制大学卒業、短大卒業+実務経験などが必要)。
いずれにしろ、大学入試のための受験勉強から始めないといけないため、資格取得は簡単ではありません。目的意識をきちんと持って、長期計画で進めることが大切です。
福祉系の4年制大学の初年度納入金は、私立で約120~150万円程度。国公立は80~100万円。働きながら学ぶ場合は、インターネットなどを活用している通信教育学部もおすすめです。通信教育の場合、初年度入学金は約20万円です。

資格試験の内容や合格率

試験は毎年1月に行われます。第29回(平成28年度)の試験科目は、以下の通りです。

●試験科目
人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システム、現代社会と福祉、地域福祉の理論と方法、福祉行財政と福祉計画、社会保障、障害者に対する支援と障害者自立支援制度、低所得者に対する支援と生活保護制度、保健医療サービス、権利擁護と成年後見制度、社会調査の基礎、相談援助の基盤と専門職、相談援助の理論と方法、福祉サービスの組織と経営、高齢者に対する支援と介護保険制度、児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度、就労支援サービス、更生保護制度

合格率は例年約27%程度と、かなりの難関です。第29回(平成28年度)はさらに合格率が下がり、26.2%でした。

*ほかにも、スキルアップのための介護・福祉系の資格をご紹介 → 介護・福祉系の資格

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