看護師になるのも、パソコンの勉強も、医療事務への転身も、常に自分のやりたい、という気持ちを大事に決断してきたT・Rさん。
ところが、結婚し、母親になったとき、「仕事をしたくても、できない」現実に初めて直面します。悩みながらも、子育てに専念することを選択しました。

*Tさんの転職ヒストリー 1回目2回目3回目4回目(最終回)

T・Rさん(44歳)のプロフィール3_1

●看護業界歴…9年

●転職回数…7回(非常勤での勤務先含む)

●いままでの勤務先…がん専門病院、総合病院、調剤薬局(医療事務)、クリニック(内科)、訪問看護、他

●保有資格…正看護師、ケアマネジャー、第一種消化器内視鏡技師

結婚と同時に、ケアマネの資格を取得

調剤薬局で医療事務の仕事をするなかで、「自分の軸は看護師」と改めて認識できた私は、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取るための勉強を始めました。

看護師で、かつ必要な実務経験の年数も満たしているので、ケアマネの受験条件は、すでにクリアしていました。前職のがんセンター在籍中から、婦長や先輩に「ケアマネは必ず受けるように」と言われていた資格でもありました。

ケアマネの試験に合格したのは、夫の海外転勤でアメリカに行く直前です。ケアマネの資格は必ず人生のどこかで役立つと思っていました。
しかし一方では、英語教室にも通っていて、「また次はどんな新しい扉が開くのだろう」と期待に胸が高鳴っていました。

知らない世界を知りたい。なんでも経験してみて、いろいろな知識を吸収したい。私はどうやら根っからの前向き志向。そして、未知のことにチャレンジするのが好きみたい(笑)。
アメリカで興味があることに出会えたら、そこで勉強をして、可能性を広げるのもいい。そう思っていました。

ところが、2011年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件により、日本企業は当面、長期のアメリカ駐在を自粛。夫も帰国を切り上げることになり、結果的に、半年間だけの駐在となりました。

帰国して数カ月経ち、そろそろ働こうと思ったとき、生かしてみようと思い立ったのが、ケアマネの資格です。派遣会社に登録し、ケアマネとして非常勤で働き始めました。ですが、実は、ここから私の職業人生は長いブランクに入ります。

ケアマネとして働きはじめた矢先、妊娠が分かったのです。

10年のブランク中も焦らず、前向きに

3_2妊娠が発覚し、仕事は辞めました。その後、2人目も授かり、10年ほどは育児に専念する日々でした。長男はいま小学校5年生、6歳離れた次男は幼稚園の年中さんです。

10年の子育て中、幾度か仕事に復帰しようと思ったこともありました。でも、長男は小さな頃、とても病気がちで、仕事との両立は不可能でした。小学生になって丈夫になり、安心したものの、次は次男の出産と育児。実家が遠く、祖父母の助けも借りられないため、仕事をするのはどう考えても無理でした。

もちろん、仕事と育児を両立させ、長く働き続けている方もたくさんいらっしゃいます。病院内や施設に託児所があるとか、子どもが急に病気になったときに休みが取れるなど、支援体制が整っていれば両立もしやすいと思います。

でも、そうした恵まれた環境はまだ少なく、育児と仕事の両立という壁をどう乗り越えるか、悩んでいる方のほうが多いのではないでしょうか。

私も、妊娠・出産・育児が、これまでで一番大きな転機でした。ただ、そのときどきで優先順位をつけなければならないのだとしたら、「いまの私は、子どもが最優先」。そう決めると、不安や迷いは消えました。
むしろ、自分はこれから何ができるのか、何をしたいのか、ゆっくり見直す時間にしようと気持ちを切り替えてきたつもりです。

2年前、下の子の幼稚園入園を機に、医療系の転職サイトや派遣会社に登録し、仕事を再開しました。といっても、小学校入学までは子育てを中心にしたいので、完全復帰ではありません。夫が家にいて、子どもたちをみてもらえる土日と、あとは時間が許す範囲で平日に少しずつ。

10年のブランクがあっても、まだウォーミングアップではあっても、やる気があればできる。探せば、いろいろな働き方がある。看護師でよかったと、改めて思っています。

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最終回は、自分なりの働き方を模索し、次のステップをめざすTさんの「いま」をお伝えします。

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