がんの勉強をするために、4年間勤務した大学病院から、がん専門の国立病院へ転職したY・Tさん。数年後には幹部試験を受け、主任を務めるなど、キャリアアップも順調に進んでいました。
その一方、目標としていた認定看護師への道のりは遠く、さらに上を目指していくことに限界を感じるようにも・・・。

転職5年後に結婚。「このままここで認定看護師を目指すか、それとも・・・」。悩んだ末、Yさんは家族を選ぶことに決めました。

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Y・Tさん(39歳)のプロフィール

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●看護業界歴…18年

●看護の仕事に就く前…看護専門学校

●転職回数…2回

●現在の勤務先…総合病院(内科)

●いままでの勤務先…大学病院(外科)、国立病院(ICU)

●保有資格…正看護師

認定看護師への推薦を得るまでが難関

前職の大学病院ではターミナル期の看護も行っていたため、がんで亡くなっていく患者さんをたくさん見てきました。
どうすることもできないこととはいえ、自分が受け持たせていただき、家族のように接してきた患者さんを看取るのはつらく、それだけに余計、がんについてもっと勉強したいと思うようになりました。

そうして転職したのが、がん専門の国立病院です。
私は術後管理を行うICUに所属。ここで5年働きましたが、私の勤務期間内だけに限っていえば、私はこの間1度も亡くなった方を見ていません。

手術適応や治療適応の方が対象であることもありますけど、ほとんどの方は術後の経過が良く、元気に回復されていくのが目に見えて分かるんですね。患者さんも希望を持って来られるので、治りたいという気持ちが強く、前向き。
90歳の方でも手術され、お元気になられていくのは本当に嬉しく、やりがいを感じながら働くことができました。

ただ、目標としていた認定看護師については、その機会を得るまでに高いハードルがありました。

まず、この病院では、キャリアアップをしていくと幹部試験を受けます。認定看護師を目指すには、この幹部試験に合格し、さらに病棟師長、病棟医長、病院長からそれぞれ推薦状をいただかないといけません。

また、認定看護師になるには、日本看護協会認定の教育機関で6カ月以上学ばなければいけませんが、病院から出せる人は年間1人か2人。認定看護師希望者が多いため、常時160人待ちという状態でした。

結婚を機に、キャリアを断念して国立病院を退職

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私は4年目に幹部試験を受け、5年目で主任になりました。
でも、その一方では、認定看護師の推薦状をいただくことや、さらに上を目指してキャリアアップしていくことを考えると、だんだんと自信が持てなくなっていました。

看護研究や教育研究機能を担っている病院のため、通常の看護業務の傍ら、看護学会などで発表する研究活動を行います。ほとんどの看護師が大卒か短大卒で、看護論文や英語論文が書け、発表できる優秀な人たちです。

前職も合わせれば、看護師歴約10年。患者さんへのケアや業務なら負けない自信はあります。でも、研究活動が必要なこの病院にあっては、現場だけに携わってきた私には自ずと限界があるようにも思えてきたのです。

このままここで頑張っていくか。それとも・・・。
その答えを出したのは、夫と知り合い、結婚することになった時でした。
実は、幹部になると他の国立病院への異動もあります。それも関東甲信越の広いエリアで、遠方へ異動となれば、家族と離れなければなりません。

独身でいたら、異動になっても、やり続けていたかもしれません。でも、仕事を取るか、家族を取るかとなったら、私は家族と一緒の生活を選びたい。
異動の辞令が実際に出たわけではありませんが、将来起こりうることを考え、悩みながらも退職することに決めました。

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次回は、結婚後に妊娠・出産。母親となったYさんが転職し、子育てと仕事を両立していく様子をお伝えします。

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