環境をかえるために九州から東京の病院へ転職

5年間勤めた九州の病院を辞め、上京しようと考えたのは、かつての仕事仲間の一言でした。
息子の高校中退や私の病気のことなど、近況を電話で話すと、「東京で仕事すれば？　息子さんも連れてくればいいじゃない？」と。ああ、そういう方法もあるんだと気づいたんですね。

東京には通信制高校もたくさんあり、環境が変われば息子も気が変わるかもしれません。
というと息子のためみたいですけれど、私自身が環境をガラッと変えてみたかったというのが本音なんですよ。
病気もしたし、更年期にもなっているし、もうそろそろペースダウンして自由になりたい。東京に行ったら楽しいことがあるだろうし、人生を楽しもう･･･。そんな気持ちでした。

いままではハローワークで探してきましたが、今回は転職サイトに登録。東京は転職先も多く、驚いたのは基本給がいいこと。九州での前職と現在の病院では10万円違うんです。
40代半ばにしての転職と転居でしたけれど、やってみれば意外とすんなりできて、息子のおかげで決断して本当によかったと思っています。

引っ越しの前、息子の不登校の件でお世話になったNPOにご挨拶に行った時のことです。スタッフの方が「これまで大変だったね」と言ってくれると、息子が「いや、お母さんのほうが大変でした」と答えたんですね。
もうそれで十分。それまでのモヤモヤが全部吹き飛んだ、嬉しい一言でした。

いま息子は、通信高校で勉強する傍らバイトをするなど、彼なりに前を向いて歩き始めています。私も信頼できる上司や同僚に恵まれ、楽しく仕事に全力投球中。
一つだけ予想と違ったのは、東京に来たらあちこち遊びに行くつもりでしたけど、仕事が忙しくてそうもいかないことでしょうか（笑）。

看護主任として、後輩看護師に伝えたいこと

現在の病院に転職して2年。この4月から主任になり、日勤のリーダーや委員会の活動のほかに後輩指導の責任が加わりました。

若い人たちにまず身に着けて欲しいことは、看護の基本です。シーツに点滴などが漏れて汚れたら、すぐ替えるとか、患者さんに友達言葉を使わないとか･･･当たり前のことですけど、なかには気づかない人もいるんですね。

私は最初の総合病院で、基本的なことを徹底して教え込まれました。減菌された物品を持つ位置や手順を間違うと、「それ、汚い！」と怒られ、厳しかったけれど、いま思えばありがたい。
患者さんの接遇にしても、勤務態度にしても、ちゃんと学んできた人とそうでない人の差が大きいことも、いままで幾つもの職場を経験してきて感じています。

昔の先輩というのは、みなさん気が強くて、後輩を叱ることをDNAみたいに受け継いできたところがありましたけど、いまはそんな時代ではないし、私も人を叱りつけることは好きではありません。
だから、まず自分が率先して動き、お手本を示したい。口であれこれ言うのではなく、やってみせることで気づき、学んで欲しいと思っています。

もちろん、私も勉強しなければいけません。ひとつの分野で専門性を極めてきていませんから、深い知識を求められると、本で調べないと答えられないこともあります。
そうした弱さを自覚する一方で、広く浅くではあるけれど、いろいろな現場を経験してきたからこそ、患者さんに対して広い視野で見られるのが私の強みかなと思っています。

これからのキャリアプランとか夢ですか？　それは特にないんですけど（苦笑）。
これまでいろいろあったけれど、何一つ無駄なことはなく、全部が糧になっている。そうシンプルに思っているので、これからも、その時その時に与えられた仕事と役割を一生懸命果たしていくつもりです。
そして、人生は1回きりなので、仕事もプライベートも思いっきり楽しみたいと思っています。

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