「これまでの転職は、いろいろな病棟を経験し、スキルを上げるため。二人の子の母親になってからの転職は、子どもを優先して働くため」。
そう話すA・Kさん。そのために非常勤という就業形態を選びましたが、どの職場もお母さん看護師に向けられる目は厳しく、悔しい思いをすることも幾度となくあったそうです。

*看護師転職ヒストリーAさん 1回目2回目3回目4回目(最終回)

A・Kさん(42歳)のプロフィール

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●看護業界歴…12年

●看護の仕事に就く前…看護専門学校

●転職回数…6回

●現在の勤務先…介護老人保健施設

●いままでの勤務先…大学病院(小児科)、総合病院(不妊外来)、総合病院(整形外科)、保育園、療養型病院(地域包括病棟)、総合病院(呼吸器内科)、介護老人保健施設

●保有資格…准看護師、正看護師

子どもが入院中に届いた看護師長からのLINE

前職の病院を退職したのは、いろいろな病棟を経験してスキルアップしたかったからです。それで、看護学校時代の実習病院でもあった総合病院に転職しました。

ここに5年勤務している間に、男の子と女の子の二人の子どもを授かりました。
幸い、この病院は育休制度も整っていて、院内に保育室もあります。保育園を見つけるまでそこに子どもを預けることもでき、子育てしながら働くには恵まれた職場だったと思います。

それでも、小さな子どもを二人抱えて仕事をするのはやはり大変です。しかも、うちの子は体が丈夫ではなかったため、いつ具合が悪くなるかわからず、内心、ヒヤヒヤしながら勤務していました。

東京を大型台風が直撃した数年前の秋のことは、いまでも忘れられません。小児喘息があった下の子が初めて大きな発作を起こし、入院しました。その最中に、師長から「来月からの勤務はどうするの?」とLINEが来たのです。

人が足りず、シフトを早く組みたいのはよくわかります。でも、そうしたことをLINEでポンと投げてくることに驚きました。
子どもが入院し、困り切っている私の状況を気づかって欲しいとまでは言いません。ただ、「時間がある時に連絡をください」とだけ言ってくれるのなら、こんなにガッカリしなかったと思います。

後日、面談したときも、「これからどうする?」と一方的に迫られるだけ。子どもは退院していましたが、まだシフトの確約はできず、「わかりました、辞めます」と言うしかありませんでした。

非常勤という働き方を選択し、転職を重ねる

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これからは、子どもを最優先にして働こうと決めました。自宅や保育園に近いところで、非常勤で週4日間。こうして、保育園、療養型病院、総合病院、現在の介護老人保健施設まで、2年ほどの間に4度転職。ちょっと転々としていますよね(笑)。

理由はいろいろありますが、結論は、子育てしながら非常勤で働く厳しさをどこでも感じたからです。
たとえば、療養型病院では、子どもを保育園に迎えに行き、そのまま病院に子どもを連れて戻って仕事を続けることもたびたび。上司が現場を知らないためにこうした状況が改善されることはなく、非常勤という理由で残業代も出ませんでした。

実は、この療養型病院を1年ほどして辞めてから、その前に5年勤務していた総合病院に戻りました。自分から身を引くかたちで辞め、トラブルがあったわけではありません。私の仕事ぶりを評価してくれている上司や同僚もいたので、知らないところに行くよりいいかなと思ったんですね。

ところが、病院自体が非常勤に対して厳しくなり、お母さん看護師に理解があった看護部長も新しい人に変わっていました。妊娠した人がいると部長室に呼び、「あなたはこれからどうするの?」と詰問・・・。私も子どもが熱を出してシフトの交代を申し出ると呼ばれ、「ベビーシッターを雇えば」と言われたこともあります。

出産して、これから復職や転職をしようと考えている人にはイヤな話かもしれませんね。もちろん、どこもこうだとは私も思っていません。
いろいろな働き方を選択している人の事情を理解し、肩身が狭い思いをしないようかばってくれる師長がいる病棟は、明るく活気があります。そうした職場もたくさんあるはずですし、常勤、非常勤の区別なく、誰もが看護師として堂々と働き続けられるような環境であって欲しいと思っています。

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最終回は、自分が理想とし、めざしてきた看護師の原点に立ち返りながら、ステップアップの日に備えるAさんのいまの思いをお伝えします。

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