「華やかな仕事よね」。友達の一言にドキッ

正確に言えば、現在の大学附属病院が、正職員として初めての転職先ということになります。ここに転職してきてから4年後に系列内での異動をし、勤務地が変わりましたが、当院の勤務は通算9年目になります。

最初の3年間の配属は、救急外来。転職するときに「救急をやってみたい」という希望を出したのが、かなえられたのかなと思います。とはいえ、救急外来は私には初めての経験。入院や手術を必要とする重症患者に対応する2次の救急外来で、24時間稼働。つねに緊張を強いられる業務に、最初は不安でいっぱいでした。

うちの病院は、前職での経験はあまり評価の対象にはなりません。ここで本当にできるかどうかがすべて。だから、50疾患くらいの症例と対応が書き上げてあるレジュメをナース1年目の新人と一緒に勉強したり、一から徹底的にトレーニングを受けました。

おかげで知識を深められ、リーダーもやるようになっていた3年目のことです。ナースではない友人に、何気なくこう言われたんですね。
「恵比寿に住んで、都心の有名な大学病院で働いて、救急をやって･･･。華やかよね。でも、周りは引け目を感じるし、男性は引くんじゃない？」

ちょっとドキッとしましたね。一応、お年頃ですから（笑）。ただ、男性がどう思うかどうかは別として、この一言が、その時の自分を見つめ直すきっかけになりました。

心停止の患者さんが運ばれてくると、心臓マッサージをしたり、スタッフの人員配置や病棟への手配を瞬時に行ったり･･･本当は地味な作業が多いんですが、見える部分は確かに颯爽としているかもしれませんね。一刻を争う仕事なので、「ナースの腕の見せどころ」みたいな面もあり、重症患者さんであればあるほど「張り切る」ところもありました。

私には、救急よりも、患者さんとゆっくり触れ合う病棟のほうが向いているかもしれない。3年間で一応のことはやり切ったので、また初心に戻って、違う場所でやり直したいと思うようになりました。ちょうど系列内での異動を推奨していた時期でもあり、都心の病院から東京近県の病院へと異動。恵比寿の住まいも引き払い、実家の近くへ引っ越しました。

認定看護師の資格取得を勧められて

異動後は内科病棟に4年勤務し、2年前から外来の化学療法室にいます。抗ガン剤を投与する部署なので、薬の管理や日常生活の支援が主な仕事です。

副作用のことなど、薬についての勉強が欠かせません。患者さんも家族もつねに不安を抱えていて、心も乱れやすいので、精神的なサポートも必要です。
訪問看護やヘルパーさんが必要な患者さんもいらっしゃるので、その連携に役立てようと、介護支援専門員（ケアマネジャー）の資格を取りました。また、何かあった時の強みになるようにと、3学会合同呼吸療法認定士の資格も取りました。

スペシャリストが多い部署で、先輩方のほとんどが認定看護師です。それでいま、がん化学療法看護や緩和ケアなどのスペシャリストはいるので、「がん放射線療法看護の分野で認定を取るのはどう？」と、師長に提案されています。

学生指導などもやらせてもらい、私を買っていただいている上司や先輩方の期待に応えたいとは思っています。ただ、専門性を極めていくのが本当に自分がやりたいことなのか、まだよくわからないんですね。

それよりも、訪問看護など、在宅でゆっくり看護や介護をしながら、がん患者さんを看取る仕事もしてみたいかな？　結婚もしたいので、プライベートも充実させなくてはいけないのかな?････とかとか。

34歳という年齢からいっても、岐路に立っているのは確かです。将来像は未定ですが、とにかく、いま所属している部署で、きちんと仕事をやり遂げていくことが大切。目標を持って勉強し、キャリアを積んでいけば、また次の方向が自然と見えてくるだろうと思っています。

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＊看護師転職ヒストリーCさん 1回目、2回目、3回目、4回目（最終回）