男性看護師が増え、いろいろな職場で活躍する姿が見られるようになりました。それでも、全看護師のうち男性の割合は1割ほどだそうですから、まだまだ女性が圧倒的多数であることに変わりはありません。

いまよりもっと男性が少数派だった20年近く前に看護師を志したY・Sさん。職業選択やキャリアアップ、そして転職に、男性ゆえの思いや葛藤はあったのでしょうか。
4回にわたってお伝えするYさんの転職ストーリーをじっくり読んでみてください。

*看護師転職ヒストリーYさん 1回目2回目3回目4回目(最終回)

Y・Sさん(35歳)のプロフィールimage003

●看護業界歴…15年

●看護の仕事に就く前…看護専門学校

●転職回数…2回

●現在の勤務先…総合病院

●いままでの勤務先…総合病院(外科、整形科)、総合病院(ICU)、総合病院(ICU、整形外科)

●保有資格…准看護師、正看護師

男性では珍しい職業だったので、やってみたかった

「どうして看護師になったんですか?」
男性の看護師ならよくされる質問だと思います。僕もいまだにしょっちゅう聞かれます(笑)。

僕が看護師になろうと決めた17年前は、看護師と言えば女性の職業。男性はまだごく僅かでした。だから、看護師をやってみたかったというか・・・。男性は珍しいからやってみようかな? そんな感じで選んだんですね。看護師の姿に憧れたとか、特別な理由があるわけではないんですよ。

きっかけは、進路を考える高3のとき。医療事務の仕事をしていた母が、「看護師という選択もあるんじゃない?」と何気なく言った一言でした。ちょうど就職氷河期だったこともあり、将来のことを考えると、一生食べていくのに困らない資格を取るのがいいんだろうと。しかも、男性は珍しい(笑)。男性だからという抵抗はまったくなく、むしろ、僕はそこに面白さを感じました。

それから進路指導室に行き、資料をかたっぱしから調べ、全国規模で展開している医療グループを探しました。そのグループ病院で働きながら附属の学校に通い、准看の資格を取る・・・。誰にも相談せず、ここまで全部自分ひとりで決めたんです。

午前中4時間くらい看護助手として働き、午後から学校へ。学費は資金援助という形で病院から出て、給料ももらえます。しかも病院の寮に入っていたので、親にはまったく金銭的な負担をかけずにすみました。

ただ、このやり方で本当によかったかどうかはわかりません。
というのは、最初から正看の資格を取る方法もあったわけですよね? 計画的な半面、無計画なところも僕にはあって(笑)、そのことに気づいたのは、准看として働き、3年が経とうとする頃でした。

准看と正看の給与の差にショック

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病院で働きながら学校に2年通い、准看の資格を取得。その後も奨学金のお礼奉公というかたちで同じ病院で働いていたのですが、正看になろうという気はとくにありませんでした。

ただ、准看と正看とでは給与や待遇に差があり、「やることはほぼ同じなのにおかしいな?」とは思っていたんですね。
確か、その当時で准看と正看では月額数万円の差があったと思います。正看の同期と給料の話になるたびに愕然とし、この先も看護師をやっていくのにこれはまずいかなと思い始めてもいました。

准看になってからそんな3年目の冬のことです。准看学校も一緒だった同期が、正看の学校を受験すると言い出したんですね。奴の成績は知っているから(笑)、「大丈夫かな?」と様子見をしてたら、なんと合格。それで、「あ、これはやばい!」(笑)と、大急ぎで学校を探し、願書を出しました。

准看学校時代から、男性の同期は彼と僕の2人だけ。寮も職場もずっと一緒で、考え方も似ている彼が先に動かなかったら、まだしばらくは准看のままでいたかもしれません。給与は正看と差があるからといって遊ぶお金に困るわけではなく、仕事内容が違うわけでもありませんでしたから。

その友達は11月に学校が決まり、僕は12月に願書を出して1月に試験。英語が苦手なので、受験科目に英語がないところを選んだり、受験対策はまあそれなりにしまして・・・(笑)。
こうして5年間お世話になった病院を退職し、23歳からまた学生になりました。
准看の資格を持っている人が対象の2年課程なので、年齢的にはみんなそれほど変わりません。むしろ、ちょっと「お兄さん」みたいな感じで頼りにされ、楽しく勉強できました。

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次回は、看護専門学校を卒業後、正看として転職する思いをお伝えします。

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