専門性を極めることで、看護師として自信ができた

出産のために最終の認定審査は受けられませんでしたが、認定看護師になる勉強をして本当によかったと思っています。

実は、それまで私は、医療に携わる怖さを完全には払拭できずにいました。
失敗してはいけない、間違った判断をしてはいけない･･･。そのために一度は看護師を辞めようとしたこともありましたし、それからもミスをしそうになった過去の場面が急に蘇り、胸が苦しくなることもありました。

完璧志向で、自分で自分を追い込むところがあるのが、私の長所であり短所（笑）。性格は変えられないかもしれませんけど、専門性を極めることで、失敗を必要以上に怖がることはなくなりました。
というのは、認定看護師課程では、病態から勉強し直します。どういう症状で、どういう経過を辿り、どういう治療するのか･･･。そこで過去の経験と結びつけ、あの時の患者さんはこういう状態だったから、こうすればよかったんだと振り返ることができたからです。
そして、やはり大きいのは、自分に自信が持てるようになったことだと思います。

仕事をしていれば誰しも不安はつきもの。これで大丈夫だろうか？　うまくできるだろうか？　そんな不安を乗り越えていけるのは、自分を信じて前向きに努力していくから。
認定看護師の勉強にしても、「できなかったらどうしよう？」と心配が先立ったらしなかったと思いますけど、「チャレンジしてみよう」と思ったから踏み出せた。そして、思いがけず妊娠してつわりで大変だったときも、「やればできる」と自分を励ましていました。
高度な知識や技術を身に着けられたことだけではなく、いろいろなことを乗り越えられた自分を発見できたのが大きな自信になっています。

患者さんの支えになるケアをしていきたい

振り返ると、高等学校看護科時代から、看護計画を立てる授業のなかで先生によく言われたのは、流れをよく考えなさいということでした。
当時は、教科書や参考書に書いてあることを組み合わせるだけ。すると先生は、「間違いではないけれど、それはつながっているの？　関連性はあるの？」と。

正解だけを求めがちな自分の欠点と思い、それからは注意してきましたし、ナースになってからも看護の流れを大切にしてきたつもりです。
たとえば肺炎の高齢の患者さんだと、痰がたまっても自分では出せません。この場合、器械で吸引する方法もありますけど、体位を変えたり、横向きの時間を長くすると痰が出やすくなるんですね。また、ずっと寝ているより起こしてあげることで横隔膜が下がり、呼吸がしやすくなります。

こんなふうに、患者さんが回復して退院するまで、よりよく過ごせるように計画を立てる流れには、「これが絶対正しい」という一つの正解だけがあるわけではありません。患者さんによってケアの仕方や流れは幾つもあるんですよね。
それだけ看護は難しく、大変なこともたくさんあるけれど、だからこそ、やりがいがある。
つらいとき、苦しいとき、誰かの助けが必要なとき、患者さんの立場になってケアをして、支えになってあげたい。看護師を志したときからずっと持ち続けている気持ちと、そんな思いを持っている自分を信じて、これからも頑張っていこうと思っています。

いまはまだ育児に専念していますが、今年の秋くらいには復帰する予定です。
その前に、5月にある認定看護師の試験を受けなければ。勉強する時間がなかなかつくれないのですが、一足早く認定看護師になった夫に負けられないので（笑）頑張るつもりです。

小さい子どもがいると、熱が出たときなどに休まなければいけないので、そういうことにも理解がある病院が見つかるだろうかという心配もあります。また、1年以上仕事を休んでいるので、技術的な面での不安もあります。
でも、きっと大丈夫。不安や心配ばかり数えていたら前へは進めない。母となり、そして看護師としてキャリアアップする勉強をしたことで、私は人間的にもたくましくなったような気がしています。

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＊看護師転職ヒストリーMさん 1回目、2回目、3回目、4回目（最終回）